試合レポート

桶川vs越谷南

2015.07.21

炎天下の延長戦!無慈悲な太陽がドラマを生んだ

 時折球場上空を雲が覆い、日陰を作り出すものの、順調に気温は上がり続ける。そんなうだるような正午過ぎ、さいたま市営大宮球場での第2試合、桶川越谷南が始まった。
桶川は2回戦、秩父農工科学と対戦し3対2と勝ち上がると、3回戦では本庄東に6対3で勝利。堅実に勝ち抜いてきている。
一方、越谷南は2回戦で山村国際を相手に8対1と大勝すると、3回戦ではシード校・浦和実を5対3と下し勢いのあるチームだ。

 試合が動いたのは2回。越谷南、この回先頭の4番・濱田 雄大がツーベースで出塁。5番・前田 泰良が送り一死三塁とすると、6番・宮田 卓弥のセカンドゴロをの間に1点を先制する。

 その裏、桶川は一死から6番・木村 一斗がセンターオーバーのスリーベースを放ち、一気にチャンスを作る。続く7番・山﨑 真太朗への投球が高めに抜け、キャッチャーが取れず、三塁から木村が生還。桶川が同点に追いつく。

 その後は桶川先発・畔上 幸大、3回から越谷南のマウンドに上がった久保崎 翔、両投手による投げ合いとなり、スコアボードにゼロが連なっていく。

試合が再び動いたのは、8回だった。
8回表、越谷南は一死から8番・野呂 優貴がライトへのヒットで出塁。9番・小林 颯汰が送り、二死二塁。このチャンスに、打席に入るのは好投を続ける久保崎 翔。久保崎が放ったのは、ファーストへの強烈なゴロ。これがファースト強襲のヒットとなる。さらにボールがこぼれる間に、二塁走者・野呂が一気に本塁へ還り、越谷南が勝ち越しに成功。久保崎は一塁上で大きくガッツポーズ。一塁側スタンドに陣取る越谷南応援団も大騒ぎで応える。

 その裏、気持ちよくマウンドに上がる久保崎に対し桶川はあっさり二死を取られるも、ここから意地を見せる。4番・喜多 航太郎がヒットで出塁。5番・鈴木 崇志もライト前へふわりと落ちるヒットを飛ばす。この打球に、喜多は三塁まで到達する好走塁を見せ、二死一、三塁とチャンスを作り、打席には、同点のきっかけとなるスリーベースを放った木村。スタンドの桶川大応援団は、ここぞとばかりに大音量で攻撃を後押し。越谷南に緊張感が走る。だがここは久保崎が木村をファーストフライに打ち取り、ピンチを脱する。

 これに対し、桶川先発・畔上も負けてはいない。9回表の越谷南の攻撃を3者凡退に切って取り、その裏の攻撃に備える。
そして9回裏、桶川は先頭の7番・山﨑がヒットで出塁。その後二死二塁とし、1番・梅澤 亮太が放ったのは、左中間へのタイムリー。9回裏二死の土壇場で桶川が同点に追いつき、試合は延長戦に突入する。

 そして、雌雄が決する時が来た。
お互い攻めあって延長を戦い迎えた11回裏。先頭の7番・山﨑がヒットで出塁。8番・滝澤 亮太が送り二塁へ。その後、二死二塁に。9回と同じ展開。盛り上がる桶川スタンドに対し、守る味方に必死に声援を送る越谷南
1番・梅澤の打球は高々と上がりセンターへ。打ち取ったかに見えた当たりだったが、よりによってここで、容赦なく照らし続ける太陽が球児に試練を与える。越谷南センターが捕球体制に入り、ボールの下に入った瞬間、直射日光がもろに目に入り、顔を覆い一瞬立ちすくむ。その瞬間、ボールは無情にもグラブがあるはずの身体の横をすり抜け地面へと落下。この間に二塁から山崎が還り、桶川がサヨナラ勝ち。喜びを爆発させた。

 一方、信じられないような形でこの夏が終わった越谷南。浦和実を破るなど実力は確かなものがあっただけに、悔しい敗戦となった。この悔しい思いを胸に、後輩たちは秋への戦いへと切り替えていく。

(文=青木有実子


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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