Column

どうしたら大事な本番で力を発揮できるのか

2012.12.14

遠藤友彦の人間力!

はじめに

 「練習ではうまくいくのに、大事な本番ではうまくいかない」

 野球選手であれば誰でも経験していることで、その都度悩んでいることでしょう。「練習では大丈夫なのだから、たまたま結果が出ないだけだ」と自分に言い聞かせ、根本的な原因に目を背けます。

メンタルを鍛えて大舞台で活躍しよう

 「なぜ、練習では良くて、試合ではダメなのか」、切実な選手の悩みに指導者も明確な答えを出せないまま、「もっと練習をすればできるはず」と練習量を増やしていきます。

 本当にそれで解決できますか?

 技術習得以上にメンタル的なことが成果を出すには大事になってきます。

「心を強くしたい」
「心を安定させたい」

 そう感じている高校球児にこれから、『発揮能力』についてお伝えしていきます。

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[page_break:保有能力と発揮能力は別もの]

保有能力と発揮能力は別もの

 遠くに打てる、速い球を投げられる、足が速いということは持っている力です。これを言い換えると【保有能力】と言います。道具を持っているだけでは、ただの物です。その道具を上手に使ってこそ、成果に結びついていきます。能力は道具、使うということは発揮するということです。【発揮能力】が成果にダイレクトに結びつくのです。

保有能力をしっかり発揮できるように準備しよう

 では、なぜ、本番で発揮することができないのかを詳しく説明していきましょう。練習と試合の大きな違いは何なのか。練習は、結果をそれほど考えることなく思い切って動くことでしょう。
 でも、試合では「ここはチャンスだ、ヒットを打ってランナーを帰さないと」「大ピンチだ、打者を抑えないと」試合中に選手は結果を考えてプレーしてしまいます。

 ヒットを打つ、打者をアウトにとる、すべて結果です。結果を描けば描くほど身体が動かなくなります。相手が弱ければ結果思考でもうまくいく場合もありますが、相手が格上であったり、特別な場面であれば面白いようにいつもの動きから遠ざかっていくのです。

結果思考は発揮能力を低下させる

成果を上げるために形と心を準備しよう

 わかりやすい例をひとつ紹介しましょう。
 例えば、バントを成功させるには以下の流れを踏まえると成功の確率がグンと上がります。実際に、この方法を取り入れたチームのバント成功率は高まっています。
 バットを地面から平行より少しヘッドを高くし、バットの構える位置をストライクゾーンの高めいっぱいに設定します。

 そしてバットの後ろから覗き込めるように、目線をバットの高さと一緒にします。深呼吸して身体の力を抜き、柔らかく待ち構えます。バットの芯ではなく先端付近に球を当てるように心掛け、転がす方向よりも打球の勢いをなくすように膝を柔らかく使い、投球を吸収するイメージを持ちます。そして、コツン・・

 コツンが先じゃなく、失敗する打者は、考えるべきことを考えず、するべき形を意識しないで結果的に失敗をするのです。形と心は、成果をあげるための準備だと考えます。

 「結果を考えない、考えない」としないことを思うのではなく、「行動を考える、考える」という、することを積極的に思うことが大事です。

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[page_break:心は強くするのではなく、安定させるもの]

心は強くするのではなく、安定させるもの

 試合では、無死満塁で大チャンスのとき、攻撃側として得点が入らない場面もあります。周囲からすると「なんで点数が入らないの!?」と酷評したくなるものです。でも、大チャンスをイメージして、自分が打席に入っている場面を想像してみてください。

心を安定させてコンスタントに結果を残そう

 少し力んだ感覚にならないでしょうか。もしくは心が大きくなり油断した感じにならないでしょうか。ピンチのときだけ心が揺れるのではなく、チャンスのときも油断したり心が大きくなったり揺れ動くのです。
 この心の安定は、厳しい練習をやり続ければ得られるものでしょうか。厳しい練習で得られるのは保有能力です。発揮能力も少々磨かれると思いますが、「少し」だけだと思います。

 まずこのコラムを読んでいる方々に感じて欲しいのは、①身体を大きく②技術力があっても成果に結びつくとか限らないということです。もちろん①②があれば成果は出しやすくなりますが、③心の安定がないと「たまたま」で終わることでしょう。

 次回のコラムでは、発揮能力を高める方法について詳しくお伝えしていきます。

(文=遠藤友彦

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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