作新にも勝利 ドラフト注目右腕擁する岩手の伝統校・水沢
水沢のスタメン・ベンチ入り情報
国からスーパーサイエンスハイスクールに指定され、普通科と理数科の2つが設置されている水沢。創立110年を迎えるにあたって制服の変更が進んでおり、新たな歴史の1ページを刻もうとしている。
そんな水沢野球部にいるエース・伊藤裕平は、世代屈指の投手として注目を浴びていることでも知られている。174センチ75キロのがっちりした体格から力強いボールを投げ込む伊藤。ストレートは2年夏の時点で143キロを計測するなど夏まで活躍が見逃せない好投手として期待が寄せられる。
野手陣ではショート・小野寺陽紀がチームを牽引する。伊藤と同じ中学でプレーし、全国大会も経験。水沢入学後、1年生夏から試合に出場していた実力者で、新チームからが打率.500を超える数字を残す。1番・ショートの切り込み隊長として、伊藤とともにチームを支える大黒柱の1人である。
伊藤裕平と小野寺陽紀
この2人に続いて活躍が期待されるのが、藤澤航だ。秋の県大会でも先発しているが、伊藤とは違ったサイドスローの投手で、「伊藤だけでは勝ち上がるのは難しいので、藤澤が2枚看板になってくれることを期待しています」と竹田光騎主将はコメントする。
指揮官の佐々木監督も「今年は投手力が整っており、失点が計算できる」と今年のチームの強みを語っている。守備からリズムを作るチームことを目指す水沢の軸として成長が期待される。
水沢の練習模様
■作新学院との一戦で深めた自信
県大会は初戦の岩手福岡に2対4で敗れ、悔しい結果に終わった水沢。悔しさを糧に少し長いオフシーズンを過ごしてきたが、11月に作新学院との練習試合はチームに大きな影響を及ぼした。
相手はAとBチームの混合だったとのことだが、「向こうのグラウンドに行きましたが、敷地もグラウンドも広いことに驚きました」とまず環境面に圧倒されながらも「やるからには勝とう」と監督はじめチーム全体で高いモチベーションで全国区の名門に挑んでいったことをキャッチャーの竹田主将は語る。
水沢の練習模様
全国区の名門と言うことを意識した中での試合となったが、「エンドランやバントと言った小技で攻めることが出来ました」と振り返る。秋の敗戦からいかにして1点を取るのか、競り合った展開でどうやって勝つか。ここにこだわって練習を重ねてきた水沢にとって、成果が現れた瞬間だ。
試合には1対0で水沢の完封勝利。春に向けて自信を深められた一方で、「速球派の伊藤のボールにも初球から対応してくるところは凄かった」と竹田主将は捕手目線ならではの目線で作新学院の強さを痛感した。
また秋の大会では6番・セカンドだった秋山友希は作新学院との一戦で様々なことを感じ取ったようだ。
「体格がいいので、逆方向にも強い打球が飛んでいました。それでも完封で勝利できたのは自信になりましたし、好投手と対戦して自分の課題がわかったので良かったです」
水沢の集合写真
■甲子園で校歌を歌うことを目指して
そして現在は打撃強化のために、1.2キロのマスコットバットを使って、打撃練習に打ち込んでいる。また11月には5日間の合宿を行い、チーム力を磨いてきた。
「栄養管理士さんやメンタルトレーナーさんのお話を聞かせてもらって、野球以外のことを沢山学べました。1日1000スイングを3日間やって打力も磨いたので、モチベーションも変わりました」(竹田主将)
「栄養管理士さんからはタンパク質の重要性を教えてもらいました。メンタルトレーナーの方からは緊張に対してどうすればいいのか。勉強することが出来ました」(秋山)
正面から来るボールを打つことをメインに打撃練習をしてきた。「秋に比べて力がついてきたので、楽しみです」と佐々木監督は手ごたえを感じている。甲子園で校歌を歌うため、水沢はさらなる高みを目指す。
(文=田中 裕毅)
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