二松学舎大付vs都立片倉
鈴木誠也(二松学舎大付)
速球が課題の147キロ右腕
この試合の注目は二松学舎大付のエース鈴木 誠也(右/右 180センチ80キロ)だろう。
2年生ながら速球のマックスは147キロに到達する。堂々たる体格から投げ込む速球の威力に筋の良さを感じる。
偵察していた部員のガンでは常時130キロ後半~140キロ中盤でマックス147キロを計測したようだ。
彼のスピード能力は嘘偽りないことを証明してくれた。
しかしこの試合では二桁安打を打たれた。その殆どがストレートである。スピード能力はあっても、いわゆるスピード表示ほど来ていないと表現してもいい。都立片倉打線に打ち込まれたのはストレートが低めに集まらないことに尽きる。140キロを計測していたのは高めのストレートでそれ以外の低めのストレートは140キロも出ていないのではないかと予想される。投球フォームもバランスの良いフォームに見えるが、軸足が後ろに残り、踏み込み足の膝が突っ張るので、うまく体重移動できない。そのため高めにすっぽ抜けたり、逆球になったりと思うようにコントロールできていない原因になっている。
ストレートが走らない。しかしならば変化球でかわしていくしかない。
変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップ、ツーシームと実に多彩だ。要所でカーブ、チェンジアップを駆使して三振を奪うことができており、もしこの変化球がなければ更に苦しんでいる試合であったことは間違いない。
マックス147キロが話題になりそうだが、むしろスピードよりも総合力の高さが光る。
この試合に勝利できたのも総合力の高さがあったからこそ。横なぶりの雨が降る中で自分の投球をするのは大変だったと思うが、その中で勝利できたのは彼にとって大きな経験になったはずだ。
今後、低めのストレートのコントロールとキレが増してきたとき、どんな投手になっているのか非常に楽しみな選手である。
分かっていても打ち返せないストレートを投げている鈴木を見てみたい。
山岸育
スローイングタイム1.9秒台を誇る山岸育をピックアップ。
イニング間から投げるスローイングは地肩の強さを感じさせる代物。スローイングタイムは1.90秒をコンスタントに計測し、地肩の強さを存分に見せつけた。
鈴木投手のクイックが1.2秒前後とすると3.1秒~3.2秒以内でランナーは盗塁を決めなければならない。それだけ「脅威の肩」である。
ただ時折単調になるリード面と打席での何に球種を絞って入っているのかが見えなかった点が残念。
捕手というポジションは考える環境は他の野手以上にある。
素晴らしい強肩があるだけに、もう少し捕手の利点を活かし視野を広くしてプレーいくと更にプレイヤーとして幅が出てきそうだ。
鈴木から3安打を記録した。まず外角のストレートをセンター前ヒット、そして第2打席はストレートをレフト前へ流し返し、第3打席は低めに落ちるチェンジアップをバックハンドのように打ち返し、ライト前に打ち返した。
スタンスはスクエアスタンスでグリップを高めに置いて上から叩きつける打撃を身上とする。三塁の守備も安定しており、攻守にバランスが取れたプレーヤーだ。
(文=編集部:河嶋宗一)