東海大福岡vs熊本工
投手戦
安田大将(東海大福岡)
熊本工の山口翔(2年)と東海大福岡の安田大将(2年)。両エースによるシビれるような投手戦。制したのは安田だった。
熊本工打線を6安打1失点(自責点0)に抑え、大きなガッツポーズを見せたサイドスロー。相手指揮官である安田健吾監督に、「安田投手のコントロールとテンポの良さにやられた」と言わしめた。
安田のテンポの良さは、試合時間の短さからもわかる。準決勝は1時間38分。一つ前の試合である準々決勝も1時間51分だった。ストライク先行でポンポンと追い込む。このゲームでの四球はわずかに1個。それも、カウントが悪くなり、歩かせて次の打者で勝負という選択がしやすい状況だった。それを考えれば、無四球に等しい内容であった。「安田の好投に尽きる」と杉山繁俊監督もエースの快投を讃えた。
攻撃では1番・有安晟真(2年)の機転が功を奏した。1点を追う4回。それまでパーフェクトに抑えられていた熊本工・山口のリズムを崩そうと、セーフティバントを考える。「サードが下がっていた」と目をつけ、三塁前へ絶妙に転がしてヒットにした。杉山監督も、「サインではなく、本人の判断」と褒める主将の決断。ここから打線が繋がり、ワンチャンスをものにして逆転に成功。これが決勝点となった。
3試合連続の逆転勝ちで1984年以来の秋の九州決勝進出。今年から校名を東海大五から東海大福岡に変更し、「新しい名前を全国に広めたい」と選手も意気込む。その舞台となる、明治神宮大会出場まであと1つに迫った。
一方、敗れた熊本工の山口も6安打2失点と好投。準々決勝で10四死球を与えたように、球が荒れるという短所がこのゲームでは見られず、9回を無四球。本人も、「九州大会にきて、やっと思ったようなピッチングができた」と敗戦の悔しさ以上に大きな手ごたえを得た一戦となった。「冬の課題はコントロール。それに自分は握力が弱いので、鍛えていきたい」と来年への成長を誓った山口。140キロ台後半の直球を持つだけに、コントロールが向上すれば、今後が非常に楽しみになる。そう感じさせてくれた、見事なピッチングだった。
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