育英vs東洋大姫路
優勝旗授与(育英)
秋の借りを返した育英が、春の兵庫県大会47年ぶり3回目の優勝
昨秋の準々決勝以来の対戦となった決勝戦は、接戦が予想されましたが、初回に勝敗の明暗が分かれます。
1回表、育英の2年生サウスポーエース①堀田 健吾(ホッタ ケンゴ)が、東洋大姫路の上位打線を内野のファールフライ2本と三振で三者凡退に討ち取り、素晴らしい立ち上がりを見せます。このピッチングを見て、自分も育英打線を抑えなければならないと意識し、緊張の面持ちで1回裏、マウンドに上がったのが、東洋大姫路の3年生右腕①太田 智也でした。心の動揺から肩に力が入りすぎて、1アウトを取ったあと、育英のキャプテン2番 鳥羽と準決勝で3安打5打点の活躍を見せた2年生の3番 井村に連続四死球を与え、制球が定まりません。何とか踏ん張り4番の石井を三振に取りますが、2アウトから5番の木下にセンター前タイムリーを打たれ、1点を先制されます。つづく6番の船原も、左中間へ2点タイムリースリーベース。いきなり育英が、1回に3点をリードします。
育英の2年生サウスポーエース堀田のスリークゥオーターからタメを作り緩急をつけて投げ込んでくるピッチングに、3回まで打者9人ノーヒットに抑え込まれていた東洋大姫路も、4回から堀田を攻め、5回には2本のヒットで、2アウト2・3塁のチャンスを作ります。
しかし、準決勝で4打数4安打と当たっていた9番 松浦が、センターフライに打ちとられ、得点をあげることができません。
逆に育英は5回、東洋大姫路が、先発の①太田 智也から⑪東(ヒガシ)に継投すると、バントヒットの処理を焦ったピッチャーの1塁悪送球で1点を追加し、東をリリーフした3番手の2年生サウスポー⑮宮田からも、押し出しの四球と7番 青山のセンター前2点タイムリーで3点を奪い、この回打者一巡の猛攻で一挙4点。東洋大姫路は、先発した太田 智也の双子の兄⑱太田 勝也を4番手ピッチャーとしてマウンドに送り、ようやく育英の攻撃を止めますが、続く6回にも、外野の2つのエラーが得点につながって8 – 0。
7回からは、準決勝の社戦で完投した2本柱の2年生右腕・金本が、東洋大姫路の反撃を3安打無失点に抑えゲームセット。
昨秋の県大会準々決勝で東洋大姫路に0 – 2 で破れ、近畿大会に出場できなかった育英が、8 – 0の完封勝ちで春の兵庫県大会47年ぶり3度目の優勝を果たしました。育英は、5/23~彦根球場で行われる春の近畿大会に出場し、47年ぶり2度目の優勝をめざします。
東洋大姫路ナイン
【 育英・葉坂 良一監督の話 】
がっぷり四つに組んだ試合になると思っていたので、初回の3点の先取点は、大きかった。ファーストストライクを積極的に打っていくという作戦がうまくいきました。たくさんの観客が見ている球場では、練習以上に緊張感のあるプレーが出来るので、近畿大会で一つでも多く試合をして、選手たちに夏の甲子園につながる良い経験を積んでほしいです。
【 東洋大姫路・堀口 雅司監督の話 】
今のままでは、ダメだということをこの敗戦で教えてもらいました。良いピッチャーにあたれば、なかなか打てませんが、好投手を打てるだけの力をつけないと甲子園には行けません。⑱太田 勝也、一人だけでは、夏・勝てないので、2番手・3番手の投手を育てます。選手たちも悔しい思いをしたと思いますので、全て一からやり直し、攻守ともレベルアップして夏に活かしていきます。
【 総評 】
堀田と金本という左右の2年生ピッチャーの2本柱を中心に、4試合無失策の守りとバットをしっかり強く振っていけるゾーンにボールがきたら、早いカウントから積極的に打っていくバッティング。さらに、きっちり決めるバントと積極的な走塁で、育英が、混戦の春を制しました。劣勢になっても押し返す力のあるチームなので、近畿大会でさらに経験を積んで、守ってリズムを作る育英野球の精度をさらにアップさせていければ、9年ぶりの夏の甲子園に近づきます。
また、東洋大姫路も、敗戦の悔しさをバネにして、左右の3年生ピッチャー・双子の太田兄弟を中心とする投手陣の整備に加え、タイムリーヒットを打つ力とピンチでの守りの強化など、今大会でわかった課題を克服できれば、3年ぶりの夏の甲子園出場も見えてきます。
いずれにせよ夏の兵庫大会も混戦が予想されるだけに、あと2ヶ月で兵庫県内の高校球児たちがどれだけ成長して、気迫あふれるプレーを夏の兵庫県大会で見せてくれるのか楽しみです。失敗は成功のもと。春、敗れた球児たちの雪辱に期待しています。
(文=田村正浩)
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