試合レポート

佼成学園vs東海大菅生

2012.04.08

佼成学園vs東海大菅生 | 高校野球ドットコム 

攻守に活躍した吉田君(佼成学園)

自滅癖からの脱皮、佼成学園バッテリーひと冬の成長示した

 前半を終わって1―1の試合は、6回の攻防が結果的に明暗を分けた。

この回、東海大菅生の攻撃はいずれもいい当たりで難しい内野ゴロながら、佼成学園が巧みにさばいて3人で終えた。そのうちの2本を遊撃の吉田大君が処理した。捕ってからの送球の速さも光った。そして、その裏は吉田君からの攻撃だったが、「守りでいいプレーが出ている選手は必ずその試合のどこかで打てる」という流れの鉄則通り、吉田君はまさに絶好のタイミングでここまで好投を続けていた大林日君を捉えた。打球は、一直線で右翼スタンドに刺さった。結果的には、これが決勝点となった。

昨秋の東京都大会では期待されながらも、捕逸と四球というバッテリーエラーとミスが重なって、ベスト8を前に自滅気味に日大鶴ヶ丘に大敗した。それ以降、チームとしては、佼成学園は1点の大事さ1点の大切さを感じながら、ロースコアのゲームをしていくことを目指していたという。

それだけに、2―1という辛勝ながら藤田直毅監督は、その内容に満足していた。「いいタイミングでいい試合をさせてもらえたと思います。こういうロースコアのゲームをやっていかれるチームを作っていきたいと思っていました。結果的には、一発が決勝点になりましたが、前半はアウトOKで足を使っていくことが出来ました」

足を使った攻撃は、初回にいきなり表れていた。先頭の礒部君が内野安打で出ると、すかさず二塁盗塁してから、内野ゴロで1死三塁という状況を作れた。ここで、もっとも信頼の高い吉田君となるのだが、「状況に応じて最低限ことはやってくれる選手」(藤田監督)だけに、内野ゴロGOという選択肢もありだったのだが、その通りで二塁への深い内野ゴロで三塁走者を迎え入れた。


佼成学園vs東海大菅生 | 高校野球ドットコム 

力投する今井君(佼成学園)

 一見、何気なくラッキーで入った得点のようにも感じられるが、俊足の礒部君が出たら、簡単に送るのではなく、1死三塁を作って得点率を高めていくという作戦で、それがズバリと当たったということである。さらには、昨秋は自滅したバッテリーが、この試合ではちょっと嫌な形で5回に追いつかれながらも崩れることなく、しっかり持ちこたえたことも評価していた。

左腕今井君は、制球力がついたとともに、それは心のコントロールが出来るようになったことで磨かれたといってもいいであろう。今井君のタテの変化球も、かなり切れ味がよかった。

東海大菅生は、5回に先頭の5番山口君が中越二塁打して、バントで三進し、岩城君が前進していた二塁手の横を破って同点タイムリー。振り出しに戻して、なおも好機を作っていかれそうなところだったが、その後を攻めきれなかった。

大林君も、目を見張るような球威があるというものではないが、丁寧な投球で、試合を作れるタイプという印象だった。

また、二番手として8回に投げた斉藤峻君も、無難に押さえていた。若林弘泰監督としては、夏へ向けて、もうワンステージ上げていきたいところであろう。

以前に比べて、やや粒が小さくなったという印象は否めないものの、タテジマの東海大ユニホームは、それなりに威圧感はあるものだ。守りも堅いチームだっただけに、大きく崩れることはないチームという印象だった。

(文=手束仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.06

23年三重王者・いなべ総合が初戦で敗れる!9回に逆転満塁弾を許す

2024.07.06

MAX153キロ、高校通算39本塁打、偏差値70! 東京の超進学校に現れた“規格外の男”森井翔太郎の「気になる進路」

2024.07.07

上田西が0封に抑えられて初戦敗退 23年はオリドラ1を擁して甲子園出場

2024.07.06

高校生ドラフト期待度ランキング10位-1位 ドラフト上位有力“超高校級の逸材”の中から1位に輝いたのは…?【2024夏直前版】

2024.07.07

滋賀大会では日野がサヨナラ勝ち、伊吹はコールド勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.05

春連覇した加藤学園は悲観達成を狙う! 静岡、日大三島、藤枝明誠、プロ注右腕・小船を擁する知徳らが行く手を阻む!?【2024夏・静岡大会展望】

2024.07.05

静岡大会ではノーシード勢が初戦、常葉大菊川、聖隷クリストファーが開幕6日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

三重大会が6日開幕、昨夏代表のいなべ総合が初日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

大阪大会は京セラドーム大阪で6日に開幕、大阪桐蔭は14日、履正社は14日に初戦【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!