肩の力を抜こう
肩の力を抜いてスムーズな動作を心がけよう
頭が体の前方にある状態が続いてしまうと、頭を支える首や肩、背中などの筋肉に大きな負担がかかるようになります。さらに体の前面部にある大胸筋などは短縮した状態で拘縮(こうしゅく:伸張性を失って硬くなること)し、肩関節を構成する上腕骨頭が前方にシフトして、猫背のように姿勢が悪くなったり、ひどいときには頭痛の要因ともなることがあります。
このような状態を改善するためには、まず筋肉の柔軟性を改善するためのストレッチを行いましょう。首や肩周辺部の筋肉はもちろんですが、胸を大きく開いて大胸筋などをストレッチしたり、肩の前方に位置する上腕二頭筋腱長頭部などをセルフでほぐしたりすることもよいと思います。筒状のストレッチポールやグリッドローラーなどを使うとより手軽にできます。首から背中、わき腹など上半身がほぐれてくると、投球動作においても腕が自然と上がりやすくなります。
また肩に力が入ってしまう動作はいわゆる「力んだ」状態になりやすいと考えられます。例えばランニングの場面では「上半身はリラックスして」走るよう指導されることが多いと思います。肩に力が入ってしまうと腕の振りも小さくなり、体全体としてスムーズな動作を妨げやすくなるからです。
投球動作でも腕がうまく上がらないと、肩をすくめて何とか上げようとするため、より肩の筋肉が収縮した状態が続いて結果的に肩周辺部の筋肉が張ってしまう…といったことが起こります。
つい力んでしまう、という選手は動作の前に軽くシュラッグ(肩すくめ)動作を行ってみましょう。一度力を入れてから抜くようにすると、力が抜けた感覚を得られやすく、その状態を維持しながら動作を行うと力感の少ないスムーズな動作につながります。
また息をゆっくり吐いてから体を動かすことも「力み」を解消しやすくなります。普段のプレーにおいて「力んでるな…」と感じる時は一度力を入れて抜く動作、そして呼吸によって力みをコントロールすることを行ってみましょう。
文:西村 典子
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