奄美vs頴娃
奄美・禱が初県大会で完封!4番でエースをやりたい欲が急成長を生む
完封勝利の禱敬司(奄美)
奄美・禱敬司(3年)、頴娃・石窪賢人(2年)、両投手の好投でテンポ良く終盤まで両者無得点で試合が進んだ。
奄美は2、3回と三塁まで走者を進め先制機を作るも、拙攻で得点ならず。中盤以降も打線が打ちあぐね得点を奪えなかったが、エース禱が力投。初回一死三塁のピンチを連続三振で切り抜けてからは8回まで毎回の15三振、被安打2と付け入るスキを与えなかった。8回裏、9番・福田崚馬(3年)の犠飛でようやく均衡を破り、1番・豊山大翼(3年)のライトスタンド直撃の2ランで追加点を挙げ、完封勝ちした。
エース禱にとっては初めての県大会でマウンド。被安打2、15奪三振で完封し「120点の出来」と下野政幸監督も合格点の内容だった。
初めての鴨池のマウンドは「緊張した」と先頭打者にはストライクが1球も入らず四球。暴投でピンチを広げるなど、独り相撲だったが、連続三振で切り抜けると2回以降は危なげない投球を披露した。「外角低めに直球が決まってくれた」と球威のある直球でテンポ良く三振を重ね、得点の気配を与えなかった。打線は拙攻続きで援護できなかったが、二塁手・中村健人主将(3年)、三塁手・福田らが好守で盛り上げ、得点を与えなかった。
「1点もやれないつもりで投げた」と禱。好投にも気持ちを高ぶらせることなく、丁寧な投球を最後まで続けた。エースの粘投に打線が8回に9番・福田の犠飛、1番・豊山の2ランで応えることができた 昨秋までは3番、センターだったが、「投手をやるなら1番(エース)を目指せ」という下野監督の言葉に奮起。それまでは好きな野球を楽しんでやるだけの選手だったが「エース番号や4番を自分からやりたいと欲が出てきた」(下野監督)。
その方が「好きな野球をより楽しめる」とチームで一番努力してエース番号と4番の座をつかんだ。打撃では良いところがなかったが、マウンドでは独特の緊張感がある開幕戦で自分の投球をやり切った。「次はきょうより上の投球をしたい」と禱。勝利に満足することなく、どん欲だった。
(文=政純一郎)