試合レポート

浜松工vs静岡

2021.05.05

失策など相手のミスにつけ込んでいきなり5点を奪った浜松工が静岡を振り切る

浜松工vs静岡 | 高校野球ドットコム
浜松工・太田涼介君

 今大会の前評判では優勝候補の筆頭と推す声も多かった静岡。しかし、準決勝で掛川西に敗れて3位決定戦に回ることとなった。これに、西部地区5位ながらここまで進出してきた浜松工が挑むという形になった。とは言え、浜松工は西部地区では準々決勝で1位校となった掛川西に0対2で敗れており、チームとしての力はあると言っていいであろう。

 浜松工は投手と1番2番に4番が2年生が主体となっているが、力強い戦いでここまで進出してきた。

 その浜松工が、静岡の先発鈴木脩矢君の立ち上がりを襲っていきなり5点を奪った。

 浜松工の初回は先頭の平井君の内野ゴロが失策を誘発。さらに神田君のバントが安打となって無死一二塁。これで静岡の鈴木君はやや平常心を失ってしまったかもしれない状況になった。清水君が中前打、近藤楓太君が右前打でたちまち2点が入った。

 内野ゴロで二死となったものの、そこから3四球と近藤壱太君の安打に早くも2打席目となった平井君の中前打などで、打者11人でいきなり5点が入った。

 さすがの静岡でも、この5点のビハインドは大きかった。

 浜松工は左腕の背番号18の太田涼介君が結果的には8安打3失点で完投。矢部真吾監督も、「大会を通じて、太田はよく投げてくれました。県内の強豪校相手でも、少ない失点で投げられたのは大きかった。この大会を通じて大きく伸びた」と2年生投手の太田君の成長を大きな成果としていた。

 太田君は、球速ではなくて上手にコーナーを突きながら打たせていくというスタイルである。その制球が精度を増したことで今回の好投に繋がっていったと言っていいであろう。

 4回まで太田君に2安打無得点に抑えられていた静岡は、5回にやっと二死三塁から1番渋谷君の内野安打で1点を返す。

 しかし、浜松工は7回には二死走者なしから4連続四死球で押し出しの1点を貰う。静岡としては鈴木脩矢君から舩橋君、法月君と繋いだ継投がもう一つ機能しなかった。

 それでも、その裏に二死走者なしから9番山岸君の安打から、この日4打数4安打の渋谷君の二塁打や宮本君の中前打と、3連打で2点を返したもののそこまでだった。力のある静岡の反撃もやや遅きに逸したというところであろうか。

 浜松工の矢部監督は、「今日は静高が髙須君が投げなかったとはいえ、静高に勝てたのは大きいし自信になります。シードも取れましたし、この大会は成果があったと言っていいでしょう」と、振り返っていた。

 また、静岡の池田新之介監督は、「初回に、失策から気持ちの切り替えが出来なかったところがすべてでしょうか。野球は、ミスのあるスポーツなんだから、そういうところでどう切り替えられるのかというところが大事です。それは、再認識出来たのではないかと思います」と、初回の大量失点の要因を分析していた。

 それでも、今大会に関しては、4月に就任して1カ月ということで、「やはり、公式戦ですから、それぞれの選手がどういう場面でどういう気持ちでどんなプレーが出来るのかということが分かったということは収穫だと思います」と、選手たちの精神的な要素も含めて、選手たちの特性を把握できたのではないかということは、試合を通じながら把握してけたことで収穫だったという。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.07

上田西が0封に抑えられて初戦敗退 23年はオリドラ1を擁して甲子園出場

2024.07.06

23年三重王者・いなべ総合が初戦で敗れる!9回に逆転満塁弾を許す

2024.07.07

滋賀大会では日野がサヨナラ勝ち、伊吹はコールド勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.06

MAX153キロ、高校通算39本塁打、偏差値70! 東京の超進学校に現れた“規格外の男”森井翔太郎の「気になる進路」

2024.07.06

高校生ドラフト期待度ランキング10位-1位 ドラフト上位有力“超高校級の逸材”の中から1位に輝いたのは…?【2024夏直前版】

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.05

春連覇した加藤学園は悲観達成を狙う! 静岡、日大三島、藤枝明誠、プロ注右腕・小船を擁する知徳らが行く手を阻む!?【2024夏・静岡大会展望】

2024.07.05

静岡大会ではノーシード勢が初戦、常葉大菊川、聖隷クリストファーが開幕6日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

大阪大会は京セラドーム大阪で6日に開幕、大阪桐蔭は14日、履正社は14日に初戦【2024夏の甲子園】

2024.07.05

三重大会が6日開幕、昨夏代表のいなべ総合が初日に登場【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!