目黒日大vs都立日野台
雨中の試合、目黒日大逃げ切り2回戦へ!都立日野台、惜しまれる6回のスクイズ失敗
大園隼平
試合前のノックで、都立日野台は背番号12、主将の藤波匡哉がノックをしている。実は藤波は心臓の病気があることが分かり、激しい運動はできない。それでも小学1年生から始めた野球が好きで、このチームでは、主将としてチームをまとめるだけでなく、試合中は、自らサインを出して、采配もしている。
対する目黒日大の主将・當山竜祥は、昨年の夏に1年生ながら主将に就任し、2年続けて主将を務めている。昨年はもともと2年生が2人しかおらず、1年生中心のチームであったが、當山自ら主将に立候補した。主将として、上級生にも強いことを言ったという。
そんな両チームの対戦であったが、試合は1回裏に目黒日大の1番・油井佑樹が四球で出ると、2番・小西歩夢がレフトへの三塁打を放ち、目黒日大があっさり先制した。小西も3番・酒井皓哉の犠飛で還り、初回に2点を入れた。
都立日野台の林慈央は、1年生ながら夏も登板し、経験は十分だが、序盤は不安定な投球が続いた。
3回表に都立日野台は3番・柏木幸聖の二塁打などで1点を返したものの、その裏に3番・酒井、4番で主将の當山の連打などで2点を失う。この頃から、[stadium]江戸川区球場[/stadium]では雨が降り始めた。そうした中、目黒日大は4回、5回と1点ずつを追加し、リードを広げる。
ところが6回表、目黒日大の先発、背番号12の左腕・大園隼平の投球が突然乱れ、3人続けて四球で満塁となる。ここで目黒日大は、大園に代わり、右の秋元陽介が登板したが、8番・牧瞬平の二ゴロは内野安打となり、都立日野台が1点を返す。
9番・早川陸は三振に倒れたものの、1番・関根涼星は死球でさらに1点。代わったばかりの秋元は、苦しい投球が続く。続く森優人の1ボールからの2球目、ここで都立日野台はスクイズを仕掛けたが外され、三塁走者はアウトになった。
相手投手が苦しんでいる場面なので、無理に仕掛けるところではなかった。スクイズのサインを出したのは、主将の藤波だった。「森のバントで得点をしたかったのですが。責任を感じます」と、藤浪は語る。結局森は、一飛に倒れ、この回は2点止まり。都立日野台は8回にも1点を返したものの、及ばず、6対4で目黒日大が逃げ切った。
終わってみれば、相手投手が完全に苦しんでいた6回に2点しか取れなかったことが、都立日野台には痛かった。しかし藤沢にとっては、非常に貴重な経験だったと思う。失敗したからこそ学べることは、たくさんある。この経験を、これからに生かしてほしい。
一方勝った目黒日大は、2回戦は優勝候補の東海大菅生と対戦する。「厳しい戦いになりますが、勝てないチームではないです」と、主将の當山は言う。その心意気は大切である。強豪相手に臆することなく、思い切って戦ってほしい。
(記事=大島 裕史)