試合レポート

大島vs鹿児島南

2019.07.20

やれるプレーをやり切る・大島

 鹿児島大島と鹿児島南は昨夏も同じ4回戦で対戦している。この時は鹿児島南がコールド勝ちしており、鹿児島大島にとってはリベンジマッチだった。

 鹿児島大島は2回表、二死から4連続四球押出しと暴投で2点を先取。4回は暴投、5回は6番・東祐太朗(3年)の犠牲フライでリードを広げる。

 5回裏、鹿児島南は二死から連続死球でチャンスを作り、4番・臼井一真(3年)のライトオーバー三塁打で2点を返し、1点差に詰め寄る。

 鹿児島大島は6回表、二死から好機を作り、2番・赤崎太優主将(3年)のライト線二塁打で再び2点差に。

 鹿児島南は8回裏、二死満塁からリリーフでマウンドに上がった8番・杉山凌雅(3年)がレフト前2点タイムリーを放ち、同点に追いつく。

 9回で決着がつかず延長戦へ。鹿児島大島は10回表、一死から内野安打で出塁した8番・藤本涼也(2年)が二盗を決め、1番・國塚耕介(2年)のレフト前タイムリーで再び勝ち越す。その裏、9回から4番手でマウンドに上がった藤崎右京(2年)が踏ん張り、2時間48分の苦闘を制した。

 終盤劣勢の展開だったが、鹿児島大島は「やれるプレーをやり切る」(塗木哲哉監督)強気な姿勢で勝利を手繰り寄せた。

 相手は鹿児島南。昨夏も同じ4回戦で負けた相手であり、今大会は3回戦でシード鹿児島商に勝った勢いがある。序盤、相手のミスで先制し、リードする展開だったが「『夏の南』の強さを肌で感じ、選手たちが地に足のつかない感じだった」(塗木監督)。

 8回裏、二死満塁からタイムリーを浴び、同点に追いつかれる。打ったのは好リリーフを見せていた2番手・杉山。序盤の劣勢を覆し、逆転サヨナラ勝ちへの流れが相手にあるのは明らかだった。

 9回裏、先頭打者を出し、二死二塁。藤崎―今里武之介(3年)のバッテリーは、2安打2打点と当たっている4番・臼井を迎えた。歩かせて5番勝負か、迷うところだったが、外角低め厳しいところを2球続けてストライクだったことで、今里は「勝負」を選択する。イチかバチかの賭けだったが「思い切った方が悔いも残らない」と内角スライダーで3球勝負。見事一ゴロに打ち取ってピンチを脱し、勝機を引き戻した。

 直後の10回、内野安打で出塁した8番・藤本は果敢に二盗を成功させる。「自分の判断で走れ」のサインに対し変化球が来ると読んだ2球目に走った。この試合、守備も打撃もフル回転で活躍していた1番・國塚がレフト前タイムリーを放つ。浅い打球だったが「打った瞬間から走った。周りの声も何も聞こえなかった」二走・藤本が好走塁で勝ち越しのホームに滑り込んだ。

 開幕から2週間。苦しい試合が続きながらも「粘り強さ」を発揮して2年ぶりの8強入り。「大会を通してどんどん選手が成長している」と塗木監督は感じている。今まで培った力プラス、今大会の「伸びしろ」を、準々決勝では第1シード神村学園相手に思う存分ぶつけるつもりだ。

(文=政 純一郎

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会鹿児島大会
■開催期間:2019年7月6~7月23日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会鹿児島大会】
■展望コラム【出場70チーム、組み合わせ決まる!神村学園、鹿児島城西などを軸に優勝争い?】
■各ブロックの見どころ【本命・神村学園、対抗馬・鹿児島城西? 台風の目はどこか?】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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