小松島西vs富岡西
住田利喜投手(小松島西)
小松島西、辛抱の闘いでクロスゲーム制す!
上位3校に与えられる四国大会の出場権、そして来年3月の沖縄県遠征が付与され優勝の栄冠をかけ、9月11日に開幕した「第63回徳島県高等学校野球秋季大会」。
大会2日目となる12日は、両翼100m、中堅122mと四国地区屈指のグラウンド面積を持つアグリあなんスタジアムで1回戦3試合が開催された。
その第1試合では今夏2回戦で徳島県代表の鳴門を瀬戸際まで追い詰めた富岡西と、同じく今夏徳島大会でベスト8の小松島西が対戦。
特に小松島西のエース左腕・住田利喜(2年)は旧チームからの主戦格。準々決勝で1死も取れず鳴門の猛打に沈み、さらに8月末に開催された県新人・南部ブロック大会で同じ富岡西に3対5と敗れた悔しさを新チームに活かるかが主たる注目点であった。
ただし「緊張感が出たのか、今日はよくなかった」と井河宏文監督も認めたように、この日の住田の状態は今ひとつの状態。
9回を投げわずか98球とトルネード気味にノーワインドアップしてからテンポよく低めに130キロ近くの直球、そして大きなカーブをはじめとする変化球を集めるスタイルこそ変わらないものの、勝負所でボールが甘く入ることが多く、11被安打失点5(自責点3)。8回表には外野芝切れ目の不規則バウンドでセンターが後逸した3塁打とサードの失策が重なる不運も手伝い、ついに2回裏に味方が一挙5点を奪った貯金を使い果たしてしまったのである。
前田優也中堅手(小松島西)
しかし「ブロック大会では接戦で負けていたので、今回は接戦で勝とう」という目標を立てていた小松島西はここからが粘り強かった。同点後の2死2塁のピンチを切りぬけると、その裏の先頭打者、4番・岩佐拓真(2年)がショート前に落とす執念の安打で出塁。すかさず犠打で走者を進め、続く6番・篠川昇太が力投を続けていた樫原康介(2年)からファースト頭上へ流し打つ技ありのタイムリーで再び勝ち越し。最後は相手のセカンドライナーが併殺となる幸運も引き寄せて、小松島西が2回戦へと駒を進めた。
「ウチは守備型のチームだが、今日は追い付かれたところで辛抱できた。次は無失策試合を目標に準備したい」と次戦への抱負を述べた小松島西・井河監督。その誓いは同時に勝利の瞬間、ベンチから弾かれるように飛び出してきた選手たちの誓いでもある。
(文=寺下 友徳)