試合レポート

館山総合vs千葉学芸

2013.04.13

館山総合vs千葉学芸 | 高校野球ドットコム 

先発・池田(千葉学芸)

館山総合が守り勝ちで県大会出場!

第7ブロック屈指の好カード。千葉学芸館山総合の一戦。
千葉学芸は昨秋にベスト32に進出。近年力をつけているチームだ。館山総合は昨夏ベスト16。習志野相手に1対3の接戦を演じた守備型のチームである。

背番号1をつけた投手が先発ではなかった。千葉学芸は1年夏から主戦を担ったエース・長嶺ではなく、池田(2年)。館山総合は橋本だった。千葉学芸の池田は、なかなかの速球派右腕。上半身を鋭く旋回させたオーバースローで、指にかかった時の速球は135キロ前後を計測しているだろう。カーブ、縦に大きく落ちる変化球をおりまぜながら、3イニングまで5奪三振を奪う快投を魅せる。球数が多く、まだ荒削りな部分が多いが、上手く行けば来年度の千葉県を代表する存在になりそうだ。

館山総合の先発・橋本は右のサイドハンド。この投手が中々切れのあるストレートを放っている。恐らく125キロ前後ぐらいだが、コーナーへズバズバとついていくのだ。スライダーも低めに決まってなかなか打ち崩せない。

昨年のエース・黒川 雄太朗もそうだったが、凄みはないものの制球力に優れ、安定感のある投手が多い。彼もそのタイプだと思う。まさに対照的なタイプ同士の投げ合いになった。

先制したのは千葉学芸
4回表、一死満塁から押し出し死球で1点を挙げる。橋本は押し出しを恐れずにインコースへガンガンとついてくる。結果的に死球になったが、ピンチの場面でも物おじしないで投げ込む彼の度胸の強さは素晴らしいものがある。その裏、館山総合は一死満塁からライト前タイムリーで1点を返し、その後は両者譲らぬ展開に。


館山総合vs千葉学芸 | 高校野球ドットコム 

サヨナラ勝ちに歓喜の館山総合ナイン

しばらくは膠着した状態が続き7回表、千葉学芸は二死満塁のチャンスを作るものの、3番長嶺が空振り三振に倒れチャンスを生かせない。

 7回裏から千葉学芸はここまでライトについていた長嶺を投入。だがいきなり1番の高尾にレフトオーバーの二塁打を浴びてピンチに。だが長嶺は落ち着いていた。2番平野の犠打が三塁手前に転がり、藤嶺が素早く処理して三塁へ送球しひとつアウトをとる。その後、執拗に牽制を試みる。走者の平野はスタートを切ったが、牽制によりスタートが遅れ、二死となった。だがそこから三者連続四球で二死満塁のピンチに。しかし6番繁田をピッチャーゴロに打ち取った。無失点に抑えたが、この試合の長嶺は荒れ球が多い。身のこなしなどを見ていると、野球センスが優れているのがわかるが、何か力みが入りすぎている。館山総合が突くとしたら、力みが入っているうちにかき乱したいところだ。

そして1対1で迎えた9回表、千葉学芸は岩沢がセンター前ヒットで出塁。1死二、三塁のチャンスを作るも得点に至らず。すると9回裏、2番平野が左中間を破る二塁打。3番渡辺はセカンドゴロの間に進塁し一死三塁のチャンス。ここで千葉学芸バッテリーは痛恨のパスボール。館山総合はサヨナラ勝ちを決めた。

館山総合は粘り強く戦えるチーム。先発の橋本は実戦慣れしていて、要所で決まる低めのストレートとスライダーは素晴らしい。戦国・千葉で勝てるのは彼のような粘り強く試合が作れて、要所で締められる投手であるということ。
凄みはあるわけではないが、県大会では強豪校相手にどこまで対抗出来るか。私立の強豪を喰える粘っこさを持っていて、嫌らしい存在になりそうだ。

千葉学芸は先発した池田に加え、ファーストの大島、セカンドの遠藤、ショートの伊藤、サードの堀はまだ2年生と若いチームだ。プレーの精度で甘さが見られたが、選手としてのポテンシャルは高いモノを秘めており、館山総合以上であった。この敗戦が夏となって活きるか。大いに注目してみたいチームであった。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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