試合レポート

履正社vs津田学園

2019.08.14

履正社打線の勢いをつける1番桃谷の存在

履正社vs津田学園 | 高校野球ドットコム
桃谷 惟吹(履正社)

 初戦で霞ヶ浦の好投手・鈴木寛人を攻略した履正社は、津田学園前 佑囲斗も攻略した。

 口火を切ったのは1回戦で2ホーマーを放った1番・桃谷 惟吹履正社)は2回戦でも快打を連発した。いきなり津田学園前 佑囲斗が投じた141キロのストレートをはじき返し、左中間を破る二塁打。さらに第3打席ではスライダーをとらえ左中間を破る二塁打を放った。3回までに6得点。さすがの攻撃だった。

 桃谷の打撃を注目すると、歩幅を広げ、ほぼノーステップに近い形でボールを手元で呼び込む打撃スタイル。今春のセンバツで奥川恭伸に抑え込まれ、今までの打撃フォームでは速球投手から打つことはできないと実感し、打撃フォームを修正した。ノーステップにすることで間合いを取る余裕ができた。

 大会前、一番打者として「初球からどんどん打っていきたい」と桃井は今大会、10打数4安打2本塁打4打点。しかも4安打がすべて長打という強打の1番の勢いが止まらない。

 4回以降、強力な履正社打線の勢いを止めた津田学園降井隼斗はかなりの好投手であった。

 

 右サイドから投じる直球は常時135キロ~141キロと、何度も140キロ台を計測しており、サイドハンドでこのスピード能力は素晴らしい。さらに125キロ前後のスライダー、120キロ前後のチェンジアップが低めに決まり、特に右打者には内角のボールゾーンからストライクゾーンに入るスライダーを使ったり、低めに落としたりと独特の軌道で勝負する。

 中学時代は遊撃手がメインで、投手の経験はあまりない。高校へ入学して、投手に転向し、最初は上手投げだったが、なかなか合わなかった。内野手時代、横振りで投げることが多く、自然とその投げ方になっていたサイドスローに転向したところ、コントロール、球速も上がり、140キロ台を計測するまでになっていた。

 プレートの三塁側を踏んで、体を沈み込ませ、インステップ。その時、左肩を右打者にぶつける感覚で一気に腕を振りだす。そのフォームは出どころが見にくく、履正社の打者に聞くと、「三塁側からかなり遠くの位置からくる感覚だったので、軌道が慣れず、打ちにくかったです」と全国トップクラスの破壊力を誇る強力打線の打者たちも認めるほどの打ちにくさだった。

 4.2回を投げて1失点、7奪三振の好投。強打の履正社打線相手に自分の実力を示したといっていいだろう。それでも降井は「もっと前を早く助けたかったです」と涙。降井にとって前 佑囲斗は憧れの存在だった。

「ブルペンから周囲を圧倒できるボールがありましたし、前は実力を高めるためにいろいろと取り組んでいる姿はとても参考になりました」と前の存在があったからこそ成長できたと語る。

 能力は全国クラスのものがあり、謙虚にチームのために投げ続けてきた右サイドハンド。努力を続ける姿勢はいつか次のステージで実り、今以上に脚光を浴びるサイドハンドになっているはずだ。

[page_break:両チームの個人成績表]

両チームの個人成績表

履正社vs津田学園 | 高校野球ドットコム津田学園 打撃成績

履正社vs津田学園 | 高校野球ドットコム津田学園 投手成績

履正社vs津田学園 | 高校野球ドットコム履正社 打撃成績

履正社vs津田学園 | 高校野球ドットコム履正社 投手成績

(記事=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.27

慶應ボーイの学生監督が率いる慶應志木 来る夏は「現役の時よりも緊張するかもしれません」

2024.06.27

山形の組み合わせ決定!2年ぶり甲子園狙う鶴岡東は山形中央と南陽の勝者と対決<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.27

【徳島】28日に抽選会!阿南光・吉岡を攻略する高校が現れるか<夏の甲子園県大会組み合わせ>

2024.06.27

【北北海道】名寄支部は「枝幸・天塩・豊富」連合がコールド勝ちで初戦突破!【2024夏の甲子園】

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.22

南北海道室蘭支部が開幕!北海道栄、苫小牧中央がコールド発進【2024夏の甲子園】

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】