試合レポート

早大学院vs都立小平

2020.10.19

先制、中押し、ダメ押しと早大学院が得点を重ねて都立小平を振り切る

早大学院vs都立小平 | 高校野球ドットコム
本塁打を放ち、三塁ベンチ前に手を掲げながらホームへ向かう早大学院・田村君

 土曜日に降った雨の影響で17日に予定されていた試合がずれ込んで、月曜日のこの日の開催となった。

 都内の私学では入試最難校とも言われている早大学院だが、近年は木田茂監督も「ドラフト候補や上(早稲田大)でもやれる選手も育てていきたい」ということで、文武に優秀な中学生に積極的に声掛けしていくなどの活動もしているという。そういう中で、好素質の選手もポツリポツリと入学するようになると、彼らに引っ張られるようにして他の選手たちの意識も技術も上がっていくという好循環を示しているという。

 早大学院は2回、一死から椎名君、柳島君の連続二塁打で先制する。いずれも中越へ大きな弧を描く打球だった。ただ、早大学院はその後も四球とバント安打などで満塁と攻めたが、上位にあと一本がなかった。ここは、都立小平の酒井君がよく踏ん張ったとも言えようか。

 その後は、試合はそのまま膠着気味になって、早大学院の椎名君、都立小平の酒井君と両左腕粘り合いとなった。

 6回に早大学院は一死後8番栗原君が右前打で出ると、すかさず二塁盗塁。二死二塁から1番武藤君の痛烈な打球が中前へ抜けて、これがタイムリーとなって二塁走者を帰した。ここまで、やや攻めあぐみ気味でもあっただけに、早大学院としてはいい形の追加点となった。

 さらに7回にも早大学院は4番田村君がバックスクリーンに飛び込む大きな本塁打を放つ。ようやく主砲に一発が出て、早大学院ベンチは大いに盛り上がった。その勢いで、二死から四球の柳島君が暴投などで三塁まで進むと、相手の飛球落球もあってさらに1点追加した。そして、9回にも四球でチャンスを貰い、武藤君のタイムリーでダメ押しとなる2点を追加した。

 立ち上がりには連続四球を与えていた椎名君は、ボールが先行して球数も多くなっていた。もっとも、その荒れ方が的を絞らせずに6回まで都立小平打線を無安打に抑えていたところもあったかもしれない。7回にやっと岩野君が初安打を放った都立小平は、その走者をバントで進め、8番有間君の左前打で帰して一矢を報いた。

 この1点で踏ん切りがついた木田監督は8回からは予定通りにエースナンバーを背負った中澤君をリリーフのマウンドに送る。同じ左腕だが、足を跳ねてバネを効かせた投球フォームから投げ込んでくる。9回にはあと一人というところで連続四球を与えはしたものの、任された2イニングはしっかりと無安打無失点に抑えたのはさすがだった。

 木田監督は、「本当は6回で代えようと思っていたのですが、ノーヒットに抑えていたので、せっかくだからと行かせたのですが、案の定、打たれました。それでも、6回以上投げたことなかったので、よく投げてくれたと思います。打線は、左に対してなかなか自分のスイングができなくて、苦労したけれども、田村に一発が出て勢いづきました」と振り返った。

 椎名君自身も、好投しながらも、「6回までノーヒットに抑えていたのは知っていました。ただ、ちょっと球数が多かったかと思います。もっともテンポよくいかないといけない」と反省点もあげていた。

 就任3年目の都立小平の佐々木優監督は、「ちょっとイメージしていた展開とは違ってしまいました。もっと取って取られてという展開になるかなとも思っていたのですが…。まあ、ウチの投手はあんな感じのペースですから、持ち味は出せました。また、作り直してきます」と来季へ向けて意識を切り替えていた。

(記事=手束仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.24

夏の滋賀を盛り上げる23人の逸材を紹介!近畿屈指の大型遊撃手・岩井(滋賀学園)、名門・近江の大エース西山など投打に人材揃い

2024.06.24

秋田の組み合わせ決まる!明桜が初戦からいきなり金足農と対戦、初戦から秋春の王者対決【2024夏の甲子園】

2024.06.24

昨夏甲子園出場の文星芸大附の卒業生進路紹介!主力は上武大、国士舘大、東京農業大へ進学!

2024.06.25

昨夏甲子園16強・北海の卒業生進路紹介!元巨人外野手の息子らが中央大、147キロ右腕は社会人へ

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.19

夏の兵庫大会のヒーロー候補21人!報徳学園・今朝丸、神戸弘陵・村上の「151キロ右腕二人」が筆頭格!投打にタレント揃いの東洋大姫路にも注目

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!

2024.06.11

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在41地区が決定、長崎、高知、新潟、大分などでシードが決まる〈6月10日〉

2024.06.21

なぜ高校野球の新たなリーグ戦は拡大し続けているのか?『チームのために個人がいる』ではなく『個人の成長のためにチームがある』~野球指導者・阪長友仁のビジョン後編~【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.7】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】