相模原、四條畷など進学校の躍進が目立った関東と関西の春季大会
宮崎 晃亮選手(相模原)
【春季大会】相模原、四條畷など進学校の躍進が目立った関東と関西の春季大会
今年、各県で進学校の上位進出が話題となっている。高校野球ファンは、限られた環境、ハンディの中で、健闘する選手、チームに惹かれやすい。文武両道を徹する進学校が惹かれるのは、限られた時間の中で、強くなるためにはどうすれば良いのかを考えながら練習に取り組んでいるからだろう。
神奈川県では、2001年以来の百合丘以来の出場となった相模原は川崎北を強豪校に育て上げた佐相真澄監督の就任により、一気に強化を始めた。佐相監督は、私学のようなパワフルなチーム作りをするが、その通り、今年の相模原は投打でパワフルな選手が多い。相模原は練習時間は限られている。そういう進学校の環境でも、パワフルなチームに育て上げる手法は今後も注目されそうだ。
また大阪府でベスト8入りした四條畷。ここも国公立大学の合格者が多数いる進学校。最終下校から18時30分までで、練習時間が1時間半~2時間しかない。その環境下の中、「つなぎの野球」が実践するためにそのテーマに沿って、練習を重ね、練習中、試合中は「全力疾走・全力発声」をテーマに取り組んできたのだ。そして春季大会では4回戦で大体大浪商、5回戦で近大附(試合レポート)を下し、ベスト8進出。勝利後、辻野監督は、「感謝の気持ちを忘れずに全力疾走・全力発声を取組めば、いつか良いことがある。それが現実となって起きました」と目標にしていたベスト8進出を成し遂げたのだ。
四條畷は突出した選手は少ない。三宅主将も「うちは能力が高い選手がいるチームではないです」と語る。そういう中で、激戦の大阪大会を勝ち抜くために身に付けた守備、打撃、チームワークは素晴らしいものがあった。
また兵庫大会ベスト16入りした西脇も、最終下校が1時間半しかないという環境の中、内容の濃い練習を求め、着実に実力をつけてきた。今年は最速135キロ左腕・藤本翔大を擁する好チーム。だがその藤本が春先、体調を崩してしまい、地区予選の登板が絶望。その中で、藤本以外の投手が好投を見せ、県大会出場を決めると、藤本は育英相手(試合レポート)に延長12回まで3失点の好投を見せると、打線は逆転でサヨナラ勝ちを決めた。
さらには奈良大会ベスト8の奈良女子大附は、国立の中高一貫校。京大、大阪大などの国公立大の合格者も出す名門校。高校からの編入は認められず、部員が集まりにくく、例年部員が、10人前後だが、今年は、中学から11人の部員が編入し、26人でプレー。3回戦で伝統校・奈良高田を6対4で破り、ベスト8進出を決めた。準々決勝では橿原学院(試合レポート)に敗れたが、8対11と接戦を演じる試合を見せるなど、大きく存在感を示した結果となった。同じ中高一貫では、東京都の芝(野球部訪問)も、ベンチ入り17人という少人数の中、ブロック予選で明大中野八王子を破り、本大会でも1回戦で都立文京を破ってきた。
内部進学による外部募集枠定員の制限により少人数の部員しかいない話題校といえば、21世紀枠で出場した桐蔭(チーム紹介記事)である。昨秋は部員19人ながら県大会ベスト8に進出した。そういう中でも、甲子園で元気なプレー姿を見せて、甲子園のファンを感動させた。
文武両道を実践して、上位に勝ち進んだ学校が多いが、それでもこれほど出場校が多い関東、関西で勝ち進む例は少ないので、印象的な春であった。