試合レポート

鳴門vs鳴門渦潮

2016.07.29

素晴らしき投手戦を制した鳴門、前人未到の5年連続夏甲子園へ!

 7月9日、香川大会開会式を振り出しに7月28日まで熱戦が繰り広げられた全国高等学校野球選手権四国地区の各地方大会。松山聖陵新田を3対2で下した愛媛大会決勝戦から遅れること1時間。香川大会39試合、高知大会28試合、愛媛大会59試合、徳島大会30試合。計156試合のラストゲームとして[stadium]徳島県鳴門総合運動公園野球場(オロナミンC球場)[/stadium]で13時29分にプレーボールされた徳島大会決勝戦は、四国地区を代表するエース2人による素晴らしき投手戦となった。

 鳴門渦潮のエースは最速143キロ右腕の近藤 壱来(3年・右投右打・177センチ66キロ・阿南市立第一中出身)。勢いのあるストレート、カットボール、スライダーにフォークを思い切り腕を振って投げ込み、9回127球で被安打8・与四死球2・奪三振7・失点2。打者を打ち取るごとに咆哮を繰り返す彼の表情は、8年ぶり7度目の甲子園出場と、準決勝で鳴門に無念の逆転負けを喫した阿南第一中のチームメイト、富岡西左腕・紀本 幸太郎の想いを果たしにいく気迫に満ちていた。

 それに対し、淡々と凄いボールを投げ続けたのは徳島県勢初となる5年連続、11度目の甲子園をかけた鳴門の絶対的左腕エース・河野 竜生だ。佐原 雄大(3年・捕手・右投右打・177センチ89キロ・徳島ホークス<ヤングリーグ>出身)の好リードにも導かれ、NPBスカウトのスピードガンで自己最速タイ「145キロ」を計測したストレートに、ツーシーム・スライダー・チェンジアップの全てを低めに集めて104球で被安打3・与死球1・奪三振7。6回裏二死一・三塁から5番・松﨑 健太(2年・捕手・170センチ72キロ・右投右打・徳島東リトルシニア出身)に右前適時打を喫し、9回裏に二死三塁とされた以外は三塁さえ踏まさない圧巻のピッチングである。

 試合は初回二死二塁から、近藤がスライダーを痛恨のコントロールミスしたところを見逃さなかった4番・手束 海斗(3年・中堅手・170センチ81キロ・鳴門市大麻中出身)の中越三塁打と、同点で迎えた7回表一死三塁から1番・日野 洸太郎(3年・遊撃手・167センチ62キロ・右投両打・藍住町立藍住町中出身)の二塁手ジャンプをかいくぐる右前適時打により、鳴門が優勝を果たした。が、最後に両腕を突き上げて喜びを表現した河野。その姿を悔しさの中で眺めた近藤。共に全国に出しても恥ずかしくない内容を見せてくれた。

 そして願わくば、次なるステージでまた「河野 竜生vs近藤 壱来」の投手戦がみられることを。その日を楽しみにしつつ、決勝戦のスタメン9人中8名、その他にも投手陣を中心に甲子園経験者が名を連ねる鳴門には、2年連続初戦敗退の屈辱を一気に取り返す躍進を期待したい。

(文=寺下 友徳)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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