横浜vs厚木西
手探り状態の横浜。苦しみながらも4回戦進出
秋季神奈川大会も3回戦を迎えた。全国選手権出場の横浜は3回戦を迎える。昨年の初戦と同じく厚木西と対戦する。
昨年では11-4で横浜のコールド勝ちだったが、どんなゲームが展開されていくか。
厚木西は大胆なポジショニングをとる。外野手はすべてフェンス近くまで守っている。ヒットゾーンを拡げても頭を超える当たりを阻止する狙いが見えた。
1回裏、横浜は一死から2番高橋が死球で出塁すると3番山内は中前安打。二塁を蹴って三塁を狙う高橋。センターはサードへ向かって大遠投をするが、送球は思い切り逸れて三塁ベンチの中に。テイクワンベースで高橋はホームへ。二塁に到達していた山内は三塁へ。4番田原も四球で歩き、一死1,3塁のチャンスを作ったが、5番樋口の投手ゴロに山内 達也は突っ込み封殺。二死1,2塁となって中瀬が空振り三振に倒れ1点止まりに終わった。投手ゴロで本塁を突っ込んだのはゴロが飛んだらすべてスタートだったのだろうか。しかし初回の場面で挑戦する必要もなく走塁ミスで追加点を逃した攻撃であった。
2回裏に1番宍倉の適時打で1点を加え2対0とするが、3回の表に厚木西が反撃。
一死から9番がセーフティ内野安打。二死となったが、2番貝瀬が左中間を破る二塁打で同点に追いつくと3番江夏がスライダーを思い切り引っ張りレフト線を破る二塁打で同点に追いつく。優勢に見えた横浜に厚木西が食らいつき、試合を盛り上げる。
だが横浜はその裏に先頭の山内が左中間を破る三塁打で出塁。すかさず4番田原の犠牲フライで勝ち越し。5番樋口 龍之介が三塁の失策で出塁すると7番青木の左前安打。青木は深い守備を敷いていたシフトを見て二塁へ進塁。8番佐藤佑の左前安打で二者生還し、5対2と勝ち越し。
さらに4回の裏にも2点を入れて7対2と試合の主導権を握る。
相馬は序盤に変化球が集まる傾向が目立ったが、徐々に制球が安定し、キレのある130キロ前後のストレートが決まり、甘く入っていたスライダーも右打者の膝もとで投げて空振りを奪ったり、4回からスクリューとシュートを使い始めてか4,5回を無安打に抑えてお役御免となった。
6回からライトを守っていた田原が登板。と恵まれた体格を誇る左腕。体を沈み込ませて、真上から振り下すフォームから投じるストレートは常時120キロ後半~135キロを計測。角度を感じられ、球質も重く、スケールの大きさを漂わせる投手だった。だが厚木西打線に捉えられる2番貝瀬は田原の直球を捉えて中前安打。さらに江夏が直球を捉えてライト線の二塁打。無死2,3塁のチャンスを作る。4番長島はスクイズ敢行。これが成功し、貝瀬が生還。さらに中島もスクイズを決めて連続スクイズで2点を加えた。7対4。簡単には終わらない厚木西の反撃であった。
横浜は6回の裏に2番高橋の適時打、7回の裏には樋口のホームランで1点を先制する。9対4となったが、厚木西の先発・江夏が気持ちを切らさず力投。サイドハンドから投げ込むキレ味鋭いスライダーは横浜打線もまともにミートすることができなかった。試合は9回まで進む。9回から横浜はエースの柳 裕也が登板。柳は2三振を奪う快投でゲームセット。横浜が厚木西の猛追を振り切り4回戦に進出した。
厚木西は昨年に比べると大きく健闘した。江夏―貝瀬のバッテリーが合わせて6安打2打点3得点。スイングはしっかりしており、横浜は定位置より前だったが、彼らの打撃を見て深めに守っていた。
江夏は9失点だが、コールドにならず投げ切ったことが一番の成長点であろう。貝瀬も二度盗塁を刺すなど横浜のペースに持ち込ませずに最後まで試合を進行させた。4失策を喫した守備を含めて課題は多くあるが、来年のダークホース候補として頭にとどめておきたいチームだった。
9点を入れた横浜だが、攻撃での詰めの甘さが目立った。
初回の山内の走塁ミス。6回裏には無死三塁で宍倉がサインを見逃すミスがあった。守っては二連続スクイズを許す。今秋初の公式戦はさすがの横浜でもミスが目立ってしまったようだ。
対して投手は仕上がり傾向。相馬は中盤から腕が振れて直球のキレ、変化球の切れが良くなった。田原は立ち上がりがバタバタしたものの、途中から威力のある直球とカーブのコンビネーションで投球を組み立てる様子が見られた。柳は試運転段階。直球中心の投球だったが、キレのあるストレートは健在。次の試合ではさらに幅を拡げた投球が期待できそうだ。
横浜は3回戦から登場で手探りの状態。その状態のまま4回戦で桐光学園と対戦するのは首脳陣にとって不安に感じると思うが、ここは昨年から公式戦を経験しているレギュラーがここ一番で集中力を発揮してほしい。
(文=編集部:河嶋宗一)