愛知啓成vs大府
西川 拓馬(大府)
県ナンバーワン右腕候補 大府・西川8回2失点
愛知県春季高校野球大会は21日、県内5球場で1・2回戦12試合を行い、[stadium]小牧市民球場[/stadium]では大府の好投手・西川拓馬が登板した。
今年の愛知県ナンバーワン左腕投手は濱田達郎(愛工大名電)で固いが、右腕部門でトップ候補に挙がるのが金城グスターボ(豊川)と大府・西川だ。西川は昨夏の旧チームでも背番号11をつけベンチ入り。140キロ前後の速球を184センチの上背から投げ込むと評判の投手だ。
県大会では初戦に次ぐ登板となったこの日、「本格派」としての高い素質があらためて垣間見えた。腕をしなやかに振れ、リリースを打者寄りまで引っ張ってくることができる。体が柔らかく、テークバックからフィニッシュへ至るまでの中で右半身が深く入り込むような感じだ。オーバーハンドから打者の手元で生きる球筋。昨年もこの時期に見ているが、単に「しなやか」の印象だけだった2年時に比べ、力強さが増していた。
はっきりボールと分かる球もあり与四死球は多かったが、ところどころでの力強い真っすぐが目を引いた。3回裏一死満塁のピンチでは、その真っすぐで2者連続奪三振。最初のバッターは手が出ずの見逃し三振、続く打者はフルカウントから高目ボール球を振らされた。ピンチでも腕を振っての真っすぐ勝負は見ごたえあり。8回裏に四死球や自らのエラーで2点を失ったが、将来性も感じさせる。
エース西川や控え投手・新美らが仕上がり、打線が活気付けば、大府は昨夏のベスト8よりも上位を狙えそうだ。この試合では攻撃が沈黙したが、5番小代田は2回表にスリーベースを放ちイキの良さを見せた。軽やかに振り抜いた打球は右中間を破り、二塁ベース手前から三塁ベースにかけてグイッと加速。また3番の捕手柴田は長身でスローイングが柔らかく、攻守の要として成長を期待できる。
試合は愛知啓成が逆転勝ち。7回表に大府・板村のホームランで先制されたが、8回裏に敵失と犠飛で引っくり返した。先発した庄村や、背番号1のサイドハンド・野松らが打たせて取る投球で相手打線を1点にとどめる好投。1番浅井と3番深谷のがっちりとした体躯は迫力に満ち、貫禄十分だ。
(文=尾関雄一朗)