所沢商vs久喜北陽
歓喜の所沢商ナイン
一方の所沢商打線は、「相手が好投手ということで4日前から準備したんだが…」と福地監督が苦笑いを浮かべたが、久喜北陽の好投手林の前に苦しめられ、8回まで3安打無得点に抑えられる。林は序盤こそやや、もたついたが、中盤以降落ち着きを取り戻し、130km台中盤のストレートとキレの良いスライダーで打者を打ち取っていた。
すると、8回表に1死1塁から渡邉将が左中間へタイムリー2塁打を放ち、久喜北陽に貴重な2点目が入る。だが、その後の1死3塁のチャンスを物に出来ず、結局この回は1点で攻撃を終えた。さらに、9回表には2つの四球を選び2死1,2塁のチャンスを作るが、4番小堀の場面でダブルスチールを失敗し無得点に終わった。この終盤の拙攻で流れを変えてしまうことになる。
渡邊(所沢商)
久喜北陽にとっては、嫌な流れのまま迎えた9回裏、この回先頭の原のセカンドへの当たりを田沼がエラーをし、無死での走者を出すと、続く荒田が送られ1死2塁となる。
ここで7番・金浜に左中間へタイムリー3塁打を浴び、1点差でさらに1死3塁と一打同点へ絶体絶命のピンチを迎えた。続く渡会に四球を与え1,3塁となった所で所沢商ベンチは代打に白井を起用。
白井はセーフティースクイズを試みるが失敗し、送りバントの形となって2死2,3塁。だが1番・土屋は四球で歩き2死満塁となって2番・橋爪を迎えた。
橋爪の打球はレフトへライナー性の当たりとなるが、レフト土肥はあと一歩及ばず、三塁走者に続き二塁走者も生還。3対2と逆転サヨナラで所沢商が劇的な勝利を飾った。
所沢商は最後に久喜北陽を”うっちゃった”形だ。スタメンが全員は2年生と若いチームだけに一度勢いに乗ればこの日の最終回みせたような爆発力を持っている。
だが、8回までは負けゲームだったことも忘れてはいけない。切り込み隊長の土屋が完全に抑え込まれると苦しくなるだけに今後は中軸を含め打線の奮起に期待したい。
一方、春先から20数試合の練習試合で200安打100打点を目標としてきた久喜北陽。この日も渡会から10安打を放つなど打線は活発であり、ノルマは達成していたが、チャンスであと一本が出ず目標としている5打点を奪えなかったことが最後に響いた。
「夏はもっとチャンスで打てるチームにしたい」と久喜北陽・神田監督はリベンジを誓った。
(文=南 英博)