専大松戸vs流経大柏
![専大松戸vs流経大柏 | 高校野球ドットコム](/images/report/chiba/20120502002/photo01.jpg)
栗原洸(専大松戸)
雨の中で魅せたスーパーピッチ
[stadium]千葉県野球場[/stadium]2試合目は試合開始前から雨が降り始め、試合終了まで雨が降り続く、グラウンドコンディションが悪い状態の中で試合が行われた。このグラウンドコンディションの中、専大松戸のエース栗原洸はマウンド上で躍動していた。
昨秋に彼のピッチングを見て、将来性・完成度は千葉県NO.1ピッチャーと評価した栗原 洸。真上から振り下ろすオーバーハンドから投じる角度ある直球、縦割れのカーブ、スライダーのコンビネーションで勝負する右の本格派。千葉国際の相内誠が注目されているが、実力的には双璧の逸材であると思っている。ブロック予選で相内 誠が昨夏から見違えるほどの成長を見せていたので、差を付けられたと思っていたが、彼も予想以上の成長を見せていた。
相内はフォーム修正で春からオーバーハンドになっていたが、栗原は純正な右のオーバーハンド。角度良く振り下ろす投球フォームは昨年のエース上沢直之を彷彿とさせる。身体を沈みこませ、お尻から先行して体重移動を行うヒップファーストの投球フォームで、前足に粘りがあり、軸足もしっかりと押さえ付け低めへ投げられる土台を築き、テークバックは弓を引くが如く大きくバックスイングを取っていき、真上から振り下ろす。この軌道から無理なく鋭く振り下ろすことが出来る彼の肩肘の柔らかさ、しなやかさはまさに天性といっていいかもしれない。
縦回転がかかったストレートは回転数が多く、手元でも失速せず空振りが奪えるストレートで、マックス138キロだが、球速表示以上のキレを感じさせる。ストレートの角度、質の良さは相内にひけをとらないぐらい高度なストレートを投げることが出来ている。
変化球は縦割れのカーブ、スライダーの2球種が主な変化球。縦割れのカーブはブレーキングする鋭い曲がりを見せるカーブで、同じ腕の振りで投げるため、見分けがかなり付きづらい。伸びのあるストレートを軸にして、カーブ、スライダーを投げ分けながら、ストレートで打ち取る配球。特にピンチになってからギアを入れて、一段とストレートが伸びていく。流経大柏打線は次々と空振りを繰り返し、5回まで9奪三振とハイペース。
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栗原洸(専大松戸)
打線は5回の裏に永濱の適時打、神宮の犠飛で2点を追加し、3対1と勝ち越す。専大松戸は勝ち越したが、不安点はあった。それは試合が成立するかである。高校野球は7回の裏を終えなければ試合は成立せず、ノーゲームとなる。栗原の快投も水の泡になってしまう、5回を終えてから雨足が強くなり、なんとか試合だけは成立してほしいというのが両校の思いだったに違いない。
7回の裏、降りしきる雨の中で、流経大柏の二番手・高橋俊が専大松戸の攻撃を0に抑え、7回の裏が終了。これで試合が成立。専大松戸の栗原は勝利へ向け、懸命に腕を振る。前半まで快投を続けていた栗原であったが、降りしきる雨でマウンドは抜かるんで、踏ん張りが利かない状態。ボールも滑りやすくなり、終盤から栗原の球数は多くなっていくが、それでも腕の振りは衰えず、流経大柏打線を凌いでいく。
援護したい専大松戸は8回の裏、女房役の堀口の適時打で貴重な追加点を入れ、9回の表に。栗原は走者一人を出すが、最後の打者を一ゴロに打ち取り、ゲームセット。栗原は両手を上げ、大きく喜びをあらわした。
毎回の14奪三振。雨の中で見せたスーパーピッチングだった。投手にとってこれほど不利な条件にもかかわらず、強い気持ちを押し出してベストピッチング出来る精神的な強さ。上沢にない強さを持った投手であると思う。一年春で彼を初めて見た時はまだ身体は弱いが、上沢以上の制球力、安定感がある投手で、体が出来れば楽しみな投手だと思った。そのまま投手を専任していく予定だと思っていたが、上沢の代では野手として出場。持丸監督から「投手としてではなく、選手として大きく育てるためにスタメンで出場させている」というコメントを昨年聞いていた。
彼は4番ピッチャーと文字通り大黒柱。1年春のプレースタイルから想像出来ないほど打者としてフルスイングを見せ、グラウンドコートを着ているにもかかわらず、三盗を狙い、惜しくもアウトになったが、グラウンドコートを泥まみれになるファイトぶりを見せ、こんなアクティブな性格を持った選手であることに素直に驚いている。心身ともに大きく成長を見せ、持丸監督の方針が実りつつある。
雨の中で魅せたスーパーピッチは、千葉県は相内誠・栗原洸の2人が今年の筆頭と強く印象付けた。
尚、スカウト注目の相内誠擁する千葉国際と強力打線の千葉英和の好カードは悪天候のため4日の9:00([stadium]市原臨海球場[/stadium])に順延となった。
(撮影・文=河嶋宗一)