愛産大工vs豊田西
エース・関優太(愛産大工)
エース関が91球完封 愛産大工、初の県大会決勝へ
愛知県春季高校野球大会は3日、[stadium]岡崎市民球場[/stadium]で準決勝を行い、第1試合では愛産大工が豊田西を3対0で下してチーム初となる県大会決勝進出・東海大会出場を決めた。
エースが完封し、打線の軸に試合を決める一打が出た愛産大工。今枝基浩監督は試合後、「昨秋に県4位になったとはいえ、(東海大会を逃し)秋から悔しさがあった。常にチームとして成長しようとしてきた(その成果が出た)」と、手ごたえに満ちた表情で語った。
今枝監督が「今日は関サマサマ」と称えたように、エース関優太が4被安打10奪三振で完封した。与えた四死球はゼロと制球も安定。6回表・7回表はともに6球で片付けるなど球数は100球を下回り(91球)、スイスイと公式戦初完投を達成した。殊勲の背番号1は試合を振り返り、「今大会ではずっと先発させてもらっていますが、こんなにいいピッチングができたのは初めて。東海大会はどういうレベルか楽しみで、挑戦したい」とさわやかに話した。
関は最速138キロのオーバースロー。マウンドでの姿が重なるのが、2年前のドラフトで中日から指名された、同じ苗字の関啓扶(菰野高出身)だ。ノーワインドのモーションで、ややセンター方向へひねりを入れた横回転のフォーム。身長177センチで背格好も同じだ。ただ、腕の角度だけはハッキリと違う。中日・関はスリークォーターだが、愛産大工の関は上から投げ込む。「中日の関投手? 似てると言われたことはないです。(フォームで)特に意識するプロの投手もいないです。自分の感覚に合った投げ方をしています」。リリースの際に、体のバネでグッと球を押し込めるのは好ポイント。投手を始めたのは高校入学後だが、まとまった投球でチーム躍進の立役者となっている。
安藤佑斗(愛産大工)
打っては1番の安藤佑斗が6回裏に2ランホームランを放った。走者一塁の場面で送りバントを2度失敗し、作戦がランエンドヒットに切り替わってからの一発だった。「バントの失敗を取り返したかった。開き直ったが、慌てることはなく落ち着いていた」と本人が話せば、指揮官も「カウント2-2から相手が1球外してきたが、そこで我慢できたのが本塁打につながった」と精神面での冷静さを評価した。足・肩のある安藤は今枝監督のなかで外野手構想だったが、昨秋は捕手不在によりマスクを被って「1番・キャッチャー」で起用されていた。この春再びセンターに戻り、核弾頭としてチームに勢いをもたらしている。柵越えアーチは自身高校通算3本目だそうだ。
6回裏には4番・江森達哉の犠牲フライで追加点を挙げた。2回裏にはセンター前ヒットを放っているが、少々詰まってもはね返して打球スピードが速く、力のある注目選手だ。6番稲本雄哉も体格が良く2安打をマーク。第1打席では内角球にうまく腕をたたみ、三塁線へ力強くショットした。
敗れた豊田西は先発小川裕太朗が変化球を散らして粘投したが6回裏につかまった。打線は相手エース・関をとらえられず、三塁を踏めなかった。それでも、大府と並ぶ公立の伝統校として、毎年安定して勝ち上がるのはさすが豊田西。昨夏からベンチ入りしている2年生ショート・大谷征輝などセンスある選手もおり、夏が楽しみだ。
(文=尾関雄一朗)