試合レポート

愛産大工vs豊田西

2012.05.05

愛産大工vs豊田西 | 高校野球ドットコム 

エース・関優太(愛産大工)

エース関が91球完封 愛産大工、初の県大会決勝へ 

愛知県春季高校野球大会は3日、[stadium]岡崎市民球場[/stadium]で準決勝を行い、第1試合では愛産大工が豊田西を3対0で下してチーム初となる県大会決勝進出・東海大会出場を決めた。

エースが完封し、打線の軸に試合を決める一打が出た愛産大工。今枝基浩監督は試合後、「昨秋に県4位になったとはいえ、(東海大会を逃し)秋から悔しさがあった。常にチームとして成長しようとしてきた(その成果が出た)」と、手ごたえに満ちた表情で語った。

今枝監督が「今日は関サマサマ」と称えたように、エース関優太が4被安打10奪三振で完封した。与えた四死球はゼロと制球も安定。6回表・7回表はともに6球で片付けるなど球数は100球を下回り(91球)、スイスイと公式戦初完投を達成した。殊勲の背番号1は試合を振り返り、「今大会ではずっと先発させてもらっていますが、こんなにいいピッチングができたのは初めて。東海大会はどういうレベルか楽しみで、挑戦したい」とさわやかに話した。

関は最速138キロのオーバースロー。マウンドでの姿が重なるのが、2年前のドラフトで中日から指名された、同じ苗字の関啓扶菰野高出身)だ。ノーワインドのモーションで、ややセンター方向へひねりを入れた横回転のフォーム。身長177センチで背格好も同じだ。ただ、腕の角度だけはハッキリと違う。中日・関はスリークォーターだが、愛産大工の関は上から投げ込む。「中日の関投手? 似てると言われたことはないです。(フォームで)特に意識するプロの投手もいないです。自分の感覚に合った投げ方をしています」。リリースの際に、体のバネでグッと球を押し込めるのは好ポイント。投手を始めたのは高校入学後だが、まとまった投球でチーム躍進の立役者となっている。


愛産大工vs豊田西 | 高校野球ドットコム 

安藤佑斗(愛産大工)

打っては1番の安藤佑斗が6回裏に2ランホームランを放った。走者一塁の場面で送りバントを2度失敗し、作戦がランエンドヒットに切り替わってからの一発だった。「バントの失敗を取り返したかった。開き直ったが、慌てることはなく落ち着いていた」と本人が話せば、指揮官も「カウント2-2から相手が1球外してきたが、そこで我慢できたのが本塁打につながった」と精神面での冷静さを評価した。足・肩のある安藤は今枝監督のなかで外野手構想だったが、昨秋は捕手不在によりマスクを被って「1番・キャッチャー」で起用されていた。この春再びセンターに戻り、核弾頭としてチームに勢いをもたらしている。柵越えアーチは自身高校通算3本目だそうだ。

6回裏には4番・江森達哉の犠牲フライで追加点を挙げた。2回裏にはセンター前ヒットを放っているが、少々詰まってもはね返して打球スピードが速く、力のある注目選手だ。6番稲本雄哉も体格が良く2安打をマーク。第1打席では内角球にうまく腕をたたみ、三塁線へ力強くショットした。

敗れた豊田西は先発小川裕太朗が変化球を散らして粘投したが6回裏につかまった。打線は相手エース・関をとらえられず、三塁を踏めなかった。それでも、大府と並ぶ公立の伝統校として、毎年安定して勝ち上がるのはさすが豊田西。昨夏からベンチ入りしている2年生ショート・大谷征輝などセンスある選手もおり、夏が楽しみだ。

(文=尾関雄一朗)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.07

【夏の逸材123人成績速報】超進学校に現れた二刀流の夏が終わる…。県岐阜商の149キロ右腕は4回1失点の力投

2024.07.07

【8日登場の逸材一覧】大分の県立校に現れた148キロ右腕、U-18代表候補の右腕が登場! 

2024.07.07

シードで明暗!中京、岐阜、岐阜第一、県立岐阜商は初戦突破、市立岐阜商は逆転負け【2024夏の甲子園】

2024.07.07

帝京長岡、日本文理は快勝発進、東京学館新潟は劇的サヨナラ勝ち、六日町は初戦敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.07

宮崎学園が宮崎連覇へコールド発進、宮崎農は8回に4点差を逆転しての初戦突破【2024夏の甲子園】

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.07

【夏の逸材123人成績速報】超進学校に現れた二刀流の夏が終わる…。県岐阜商の149キロ右腕は4回1失点の力投

2024.07.07

【8日登場の逸材一覧】大分の県立校に現れた148キロ右腕、U-18代表候補の右腕が登場! 

2024.07.07

シードで明暗!中京、岐阜、岐阜第一、県立岐阜商は初戦突破、市立岐阜商は逆転負け【2024夏の甲子園】

2024.07.07

帝京長岡、日本文理は快勝発進、東京学館新潟は劇的サヨナラ勝ち、六日町は初戦敗退【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!