南稜vs県立川口
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武井君(南稜)
中盤に一気に打線爆発した南稜、初の決勝進出
近年の埼玉県大会としては珍しいといっていい、準決勝での公立勢対決である。
しかも、川口市と戸田市にある両校は、ほとんど生徒たちも中学時代からよく知っている者同士だ。
県立川口は2回戦で花咲徳栄を、埼玉南稜は準々決勝で春日部共栄を下すなど、共に、甲子園でも実績のある強豪校を倒しての進出である。それだけに、どちらも勢いはあるはずだ。
埼玉南稜の遠山巧監督は、前任校の川口青陵では、ほとんど0に近い状態からチーム作りをしていって、上位進出を果たせるチームにまで仕上げていった。(参照4月30日レポート)
この試合でも三塁ベースコーチのキャプテン・武井君が積極的に試合を組み立てていっていた。
2回に、南稜は送球ミス絡みで1点を献上する。その裏、二つの四球でチャンスを貰うと、8番高瀬君のタイムリーを放ち追いついた。さらに4回、県立川口は2死からチャンスを作って松崎君の右前へのポテンヒットで再びリードをする。だが、その裏の南稜は失策絡みで2死満塁としたところで代打に起用された内田君が左翼線へ三塁打を放ち満塁の走者を一掃した。
これで、試合の主導権は完全に南稜のものとなった。
5回にも、2番白石君、3番竹原君の連続二塁打に5番富士登君のポテンヒットなどで2点を追加。7回にも二番手となった山口君に対して、竹原君、菅原君の中軸が連続ヒットでチャンスを作ると、5回に代走として出場していて、これが初打席となった佐伯君が右越えの三塁打で二者を還した。選手たちはそれぞれ自分の役割をきちっと果たしていたという印象だった。
そして8回には、1死満塁から佐伯君が犠牲フライを放ってコールドゲームとなる9点目が入った。
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先発・高瀬君(南稜)
南稜の先発・高瀬君は、右アンダースローから丁寧に低目を突いてくる投球なのだが、高く浮かなければそんなに大崩れすることはないだろう。
この日も7回を投げて4安打3四球で2失点。右打者に対して、5~4~3という併殺が二つもあったところにも、高瀬君の持ち味が出ていたとも言える。
また、打線も一回りして2巡目から徐々に鈴木康君を捕え出して、3巡目で攻略した。
遠山監督は、「相手投手は、高窪君を予想していましたから、ほとんどデータも情報もない状態で、どうやって行こうかというところだったのですが、何とかなりましたね。4回は、内田の起用が当たった形になりましたが、早い回から(代打で)行くぞということは伝えていましたから、心の準備はできていたと思います」と、選手たちが試合を戦いながら対応していかれたことを評価した。
一方の、県立川口・鈴木将史監督は、「チームが勝ち上がっていくにつれて、選手たちも私生活での面も意識してきているので、関東大会が決まっても舞い上がってはいないので、プレーは普通にできていると思います。ただ、声の連携ができていなかったり、失策が続くなど、緊張をしていないのでしょうが、多くの人が入っているというこの雰囲気を経験したことで、(自分たちの)できないことが分かってきたことは大きい。ただ、この大観衆の中で、楽しめたかどうかというと、どうでしょうか」と、試合をしながら選手たちが、もっと成長していって欲しいという思いだった。
そして、夏への課題としては、チームとしての波もあるし、粗い部分もあるので、それを調整し整備していくこともテーマとしていた。
(文=手束仁)