薩摩中央vs九州学院
岩﨑佳祐投手(薩摩中央)
“自分たちの野球”やり切る・薩摩中央
得点は3対9。15安打され、16奪三振を喫した。
数字だけを見れば薩摩中央の『完敗』だが、ナインの表情は明るかった。
「自分たちより数段格上」とエースの岩﨑佳祐が話すという九州学院に対して、萩木場拓未主将は「臆することなく自分たちの野球をやり切る」ことができた手ごたえを語った。
岩﨑は、好打者の溝脇隼人と萩原英之を中心に15安打された。
特に溝脇には4打数4安打とことごとく打たれた。1、2打席目は直球を長打され、4、5打席目はスライダーを持っていかれた。5打席目のレフト線二塁打は「ひざ元のスライダーを片手で持っていかれた。すごかった」と2年生捕手・下大迫幹朗は脱帽した。
だがチームにとって収穫だったのは、抑えられなかったことではなく「岩崎さんが、最後まで気持ちで負けなかったこと」(下大迫)だ。
岩崎自身も、「最後まで思い切り自分の投球ができた」と振り返った。
さらに何本打たれても「失うものは何もない。最後まで全球種を使って真っ向勝負ができた」ことにエースは充実感を覚えた。
九州学院打線はファーストストライクから積極的に打ってくる。相手の間合いにはまってしまうと一気にやられてしまうが、しっかりコントロールして丁寧に投げていけば、こちらの術中にはまってリズムよく守れることも体感できた。
「苦し紛れに投げると制球が甘くなって持っていかれた。苦しい場面でもしっかりとした変化球が投げられる度胸と、精度を上げていきたい」とこれからやるべきことがはっきり見えた岩﨑。
大塚尚仁投手(九州学院)
打線は九州学院の左腕・大塚尚仁から10安打で3点奪えたのは大きな収穫だろう。
2安打1打点の下大迫は「1球1球に食らいついて必死にやっただけでした」と振り返る。
春の県大会準決勝では鹿児島城西の投手陣からも打っており、冬場しっかり振り込んできた成果を実戦でつかむことができた。
この春までは2、3年生18人で活動していたチームが、初めての招待試合を勝ち取った。15人の新1年生を迎え、チームの士気も上がる。
「こういう雰囲気の中で試合ができたことが何よりの収穫。練習は嘘をつかない、練習でやって来たことは間違いなかったということがつかめた。新しく入った1年生も『またこういう雰囲気の中で野球をやりたい』と思えるようになることが勝つことへのモチベーションになる」と神村泰幸監督は総括していた。
(文=政純一郎)