松阪vs四日市工業
竹内諒投手(松阪)
三重県ナンバーワン左腕 松阪・竹内が無四球14K
松阪の注目投手・竹内諒が春季県大会初登板で好投した。9回を投げ抜き散発の3安打、与えた四死球はゼロという見事な内容。「調子自体は良くもなく、悪くもなくといった感じでした」と涼しい顔で振り返るが、14個の三振を奪い相手打線を寄せ付けなかった。
武器の一つであるストレートは140キロ超。腕が後ろにやや大きく回り、安定したフォームからボールが走る。もともと完成度の高いフォームだったが、体が引き締まり、よりスムーズに力を発揮できている。打者が狙ってもバットに当たらないストレートの球質には目を見張るものがあった。なお、[stadium]津市営球場[/stadium]設置のスピードガンでは最速148キロを記録したが、同球場は『他球場より数キロ速いのでは?』との声があり、本人も浮かれた様子はなかった。
大会の数日前には、地元スポーツ紙で「プロ志望」と報じられたばかり。「自分は真っすぐで押して変化球でかわすスタイル。村中恭兵投手(東京ヤクルト)や能見篤史投手(阪神)、杉内俊哉投手(巨人)のようになりたいです」と理想像も明確だ。秋季県大会で準優勝した1年秋から主戦級として活躍し、今春は松阪・牟婁地区大会でセンバツ出場校・三重を破るなど実績も十分。この時期からのプロ志望は強い意志の表れで頼もしい限りだ。そしてその前に「まずはこの春の県大会で優勝したい。夏は必ず甲子園に」と力強く誓った。
春の躍進、そして夏の甲子園出場へ向けて、エースに対する松葉健司監督の信頼も厚い。「彼は良く分かっている。春、夏と(状態を)上げていくだけです」。竹内はこの大会で背番号9をつけるが、「竹内と同じ3年生左腕の松江晃太も期待できます。彼も背番号1をつけるべき投手で(エースとしての)責任をもってもらいたい」と、竹内の背番号9は「降格」ではないことを強調した。
試合は松阪が効果的にタイムリーを重ね、終始優位に運んだ。3回表に後藤啓之、6回表に中村悠河がタイムリーを放つと、終盤にも竹内や岸洸也の連打などでリードを広げた。松葉監督は「もともと打てない子たちばかりだったんですが(よく打ってくれました)。2006年に松阪に就任して以来(新チームの始動にあたり)最もきつい(戦力の低い)チームでしたが、子どもたちの成長は素晴らしい」と選手たちの進化に手ごたえ確かな様子だ。
敗れた四日市工はエース上杉竜也が毎回ランナーを出しながらも粘ったが、打線が沈黙した。
(文=尾関 雄一朗)