樟南二vs鹿児島高専
右腕に復調の兆し
樟南二は先発の林湧茉(3年)が8回まで散発2安打、無四球の好投で完封勝ち。2回戦で秋と春の九州王者・神村学園への挑戦権を手にした。「春の感覚が戻った。神村戦が楽しみ」と笑顔がのぞいた。
春の県大会ではチーム初の8強入りの原動力となった右腕は、それ以降スランプに陥った。5月のNHK旗では良いところなく伊集院に敗れ「もう伸びないのではないか」という不安に駆られた。夏前に渡された背番号は「1」ではなく「10」。だがエース番号でなかったことが立ち直るきっかけになった。
「番号は関係ない。マウンドで結果を残せばいい」と前向きに開き直れた。
前日、開会式直後の開幕戦は雨で流れたが「晴れている方が気持ち良くマウンドに上がれる」とプラス思考で切り替えた。仕切り直しの「開幕戦」は「コーナーワークがしっかりしていて制球が抜群だった」(迫田清仁監督)。リードする吉田翔耶(3年)がミットを構えたところに吸い込まれるようにボールが走っていく。それは春にシード鹿児島松陽を破り、4強入りした鹿児島情報とも互角に戦えた時の感覚だった。
林が自信を取り戻したことでチームの守備も安定した。この日も1失策はあったが、守りで崩れた場面はなかった。春やNHK旗にできなかった堅実な野球ができたことは、『王者』に挑む上でもプラス材料になった。
「打たれて当たり前。気持ちで負けずに自分の投球をしたい」
県内、九州無敗のシード校を相手に、林は一歩も引かない決意を固めていた。
(文=政純一郎)