試合レポート

日大三vs創価

2012.07.26

地力を見せる

連覇を目指す日大三と07年以来の甲子園出場を目指す創価の対決。
実力校同士の対決だが、日大三はノーシードから勝ち上がってきた。昨年のような相手を寄せ付けない圧倒的な実力、火が付いたら止められない爆発力はない。それでも勝ち上がってきたのはしっかりとした地力が備わっていることを実感出来るゲームであった。

創価は前回に引き続きエース池田隆英ではなく、2年生右腕・内野聖士郎の先発。日大三はエース・斉藤風太郎の先発だ。

2回表、野口 恵一郎(3年)が1-2からスライダーを流し返しレフト前ヒット。南 遼太郎(2年)は1ボール2ストライクから一塁前に犠打を決め、一死二塁。7番野田は内角ストレートを打ち返し、ライト前ヒット。8番内野はスライダーを捕えてレフトへの犠牲フライで1点を先制する。

日大三は3回裏に反撃。8番湯本 祐基(2年)は四球で出塁。斉藤は犠打で、1番森 龍馬(2年)は内角直球を捉え、中前安打。2番河津 和也(2年)は四球。そして3番金子は3ボール1ストライクからストレートを見逃し、押し出し四球で同点に追いつく。
さらに畳みかけたい日大三であったが、4番富岡 優太(3年)は1ボール1ストライクから内角直球を詰まらせファーストゴロ。山中は3ボール2ストライクから直球を打ち上げ、ファーストへのファールフライ。

両者、チャンスを作るものの、決定打を欠く展開。日大三は5回裏に一死から1番森のレフト線二塁打で、チャンスを作り、二死二塁となって3番金子 凌也にまわった。

金子は一、二塁間へ痛烈な当たりを放ち、抜けるかと思われたが、セカンドが横っ跳びでキャッチ。しかし投手はベースカバーに入っていない。内野安打でさらにチャンスを広げると思ったが、二塁走者が三塁を蹴って、ホームへむかっていた。創価内野手陣、慌てずにバックホーム。アウトとなり、勝ち越しのチャンスを逃す。これはボーンヘッドであり、二塁走者・三塁ベースコーチの判断ミス。また創価・内野もベースカバーを怠っており、お互い反省点が残るイニングであった。

6回裏にも二死から酒巻 太一(3年)の代打・村井 諒(3年)が直球を捉え右中間を破る安打に。7番関は1ストライクから直球に詰まらされ、ショートゴロ。しかし詰まった分だけ、打球が遅くなったのが幸いし、内野安打。8番瀧本の場面で、二塁走者が飛び出してアウト。またも走塁ミスでチャンスを潰す。


 創価は7回表に9番奥 輝彦(2年)が左中間を破る二塁打、1番河村 伸弘(3年)が犠打。一死三塁のチャンスを作ったが、2番原 良磨(3年)のスクイズが投手・斉藤の正面に打ち上げる小フライ。痛恨の併殺に。

7回裏、創価は流れを変えようとここまで好投の内野に代えてエースの池田を投入。140キロ超のストレートで圧倒してきた池田であったが、足の怪我の影響もあったのか。速球は140キロ前後に留まり、股関節をしっかりと使えないので、低めにコントロール出来ていない。内野より速いが、変化球のキレ、コントロールは劣る。日大三にとってはチャンスだった。

日大三は先頭の8番湯本には3ボール2ストライクからストレートを捕え、センター前ヒット。斎藤は犠打。1番森が四球。2番河津は直球を詰まらせライトフライ。3番金子は死球。二死満塁となって、富岡が145キロのストレートを中前安打。まず1点を入れて、二塁走者もホームに。センター田中がバックホーム。矢のような返球がキャッチャーミットに収まり、クロスプレーとなったが、捕手がこぼした。2点を勝ち越した。相手エースから2点の勝ち越し。これは大きかった。創価はエース投入が裏目となった。

8回表、3番鈴木 太晴(3年)はストレートの四球。田中 正義(3年)はスライダーを引っかけ二塁封殺。牽制の悪送球。5番野口はレフト前ヒットで一死一、三塁のチャンスを作る。6番南は直球を捉えたが、投手ライナー。一塁走者戻る事が出来ず、併殺に。日大三にとってはまさに幸運だった。
9回表、日大三のエース斉藤が三者凡退に抑えて試合終了。2年連続で決勝進出を果たした。


エース斉藤は持ち前の速球が連投・真夏のマウンドにより体のキレがなく、最速141キロ止まり。140キロを投げたのも数球程度で、殆どが130キロ台。ピンチを招くことが多かったが、バッテリーは冷静だった。スライダー、チェンジアップ、カーブをコーナーに投げ分けて、狙い球を絞らせず、打たせて取る投球。突出した速球、変化球がなくても勝てる投球が出来るのが斉藤の強みである。

冒頭で述べたとおり、昨年のような相手を寄せ付けない圧倒的な実力、火が付いたら止められない爆発力はない。ところどころで走塁ミスも見られる。だが簡単には失点をさせない好チームだ。ロースコでしっかりと勝ち上がれるというのは地力がついてきている証拠であろう。

ノーシードからのスタートし、厳しい戦いを潜り抜けた日大三。再び夏の甲子園まであと一歩に迫った。

(文=河嶋宗一)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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