香川西vs観音寺一
ツキを呼び込んだスローカーブ
試合時間3時間11分の熱闘は、4対4で迎えた延長13回裏。香川西が1死2塁の好機から敵失で勝ち越し点を挙げ、サヨナラ勝ち。2008年以来、決勝の舞台へと駒を進めた。
観音寺一はこの試合、唯一のエラーが命取りになった。
サヨナラ劇を演出したのは、10回裏から三番手のピッチャーとしてマウンドを引き継いだ伊藤謙太(3年)。
球速80キロ台の緩いカーブを主体にしたピッチングで、観音寺第一の打線を翻弄。4回を1安打で切り抜ける。すると、13回裏は先頭打者として中前を放ち出塁。決勝のホームを踏んだ。
この試合でラッキーボーイ的な存在になった伊藤。今大会は3回戦の三豊工業戦で1/3回。準々決勝の小豆島戦では2/3回、マウンドに立っているが、ロングリリーフは予定になかったという。
緩急をつけたピッチングを伊藤は、「小学校の頃に覚えた投げ方。当時からあまり球にスピードが出なかったので…。(ロングリリーフの成功は)監督の指示で、1回1回をきっちり抑えた結果。バックを信じて、テンポ良く投げました」。決勝でもベンチを盛り上げ、試合の流れを変える活躍を誓った。
一方、伊藤の働きについて香川西の岩上監督は、「そんなに長い回を投げたことがない子。(延長で)送り出すときは、打たれたらしょうがないと腹をくくった。打たれなかったのはゲームの展開によるもの」とやや辛口。
ただ、ここに来て生まれたラッキーボーイの存在は、決勝に向け大きな弾みになったに違いない。
(文=和田雅幸)