大阪産大附vs明星
大阪産大附・平田将投手
試練を経験した左腕
大阪産大附のエース・平田将(3年)。
1年秋の府予選で17奪三振ノーヒットノーランを達成したことのある左腕が、最終学年を迎えて最初の公式戦で先発した。
結果は立ち上がりに1点を失うなど5安打を浴びて3失点。
「全然(ダメ)です。これから上げていかないと」と自身に厳しい評価をした平田。昨年は140キロを超えていたという直球は130キロ台半ばで、変化球を主体にしたピッチング。だが、そうなるには訳があった。
「2月に右足のアキレス腱を故障して、ほとんど走れなかった。やっと治った状況ですので、まだ(状態は)5分くらいだと思います」と小田洋一監督は説明する。
下半身強化を課題としていた冬場の一番大事な時に、疲労から起こったアクシデント。「走れない時は、アキレス腱をあまり使わないようにエアロバイクで鍛えていた」と話す平田の下半身は、まだまだ自身が納得のいく体になっていないようだ。
直球が走らない分、今は勝つ為に変化球を多く織り交ぜたピッチング。冬場に遅れた分を取り返すのと同時に、「平田にドンドン経験を積ませたい」と指揮官は本番である夏を見据える。
大阪屈指と言われる左腕。本領発揮へ向けて、今は鍛錬の最中である。
一方、敗れた大阪明星は春4回、夏8回の甲子園出場経験を持つ。この春は1番から8番までが新2年生と若いチーム構成。3年生のスタメンは9番セカンドの向所佑真だけだった。
先発したエースナンバーの久保田寛司が1回に3点を失ったが、若くて勢いのある打線がすぐに反撃した。
1番の大塚健が、平田が投じた初球のストレートを果敢に打ちにいってライト前へ運ぶ。2番土居直貴は1球で送り、3番藤井透が二塁打を放って1点を返した。
特に大塚が放った初球の一打は、初回の失点でガックリくるチームを励ますもの。結果的にコールド負けにはなったが、今後へ向けて大きな財産となる一戦になったのではないだろうか。
1963年夏には全国制覇を果たした名門・大阪明星。ここから夏へどう成長を見せるか楽しみにしたい。
(文=編集部)