福岡ソフトバンクホークス 明石 健志 選手
第148回 福岡ソフトバンクホークス 明石 健志 選手 2013年4月25日
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山梨学院大附高から、2003年秋に福岡ダイエー(現・福岡ソフトバンク)ホークスからドラフト指名を受けた明石健志選手。昨シーズンは135試合に出場し、25盗塁をマーク。俊足好打のプレーヤーとして、注目を集めている明石選手は、今年でプロ入り10年目となる。
今回は、走塁・打撃について明石選手の考え方を伺いました!
明石健志の走塁術:ベースランニング&スライディング
――高校時代から、走攻守ともに高い評価を得ていましたが、プロ入り後は、自分自身のウリとして、どこを伸ばしていこうと考えられていたのでしょうか?
明石健志選手(以下「明石」) 野球をやり始めた時から、打って守って走れる選手になりたいと思っていました。でも、プロの世界に入ってからは、『走れる選手』になろうと、考え始めましたね。
――これまでの試合の中で、走塁で印象に残っている場面は?
明石 9回表までチームが負けていて、ランナー一塁で代走に出され、盗塁に成功した場面ですね。僕の足を期待されて代走に出していただいたのですが、二塁でアウトになったら試合が終わってしまう。この場面の代走って、とても勇気がいるんですよね。
ここでスタートを切るには、もう開き直りしかないですね。アウトになることは考えずに、スタートを切るしかなかったです。
――昨年も千葉ロッテ戦で、大事な場面で三盗を決めた明石選手ですが、走塁時に意識しているポイントは何ですか?
明石 ベースランニングでは、よく二塁到達までは『内側を走ることが大事』だといいますが、僕はそれを意識しすぎるのは良くないと考えています。実際に、外回りで走ることもありますし、最終的にセカンドを回る時に内側に入ればいいかなと思っています。
「スライディングは速く、強く滑る」
――プロに入ってから改めて気付いたことはありますか?
明石 ディレードスチールも使えるかなと考えるようになりましたね。通常、投手、捕手も、野手も盗塁が来ることを予測しています。でも、捕手が投手へボールを投げ返す間というのは、警戒心がないようにも見えるんです。僕はその隙をついて、いったほうがいいかなと感じて、ディレードスチールも作戦としては有効的だと最近は思っています。
――盗塁のタイミングというのは、どのように測っているのですか?
明石 色々な投手を見たり、また投手の『ここは走ってこないだろう』という雰囲気を感じ取って走っていますね。
――高校球児の中で、足をウリにしたいと考える選手へ、明石選手が大事にしているポイントを教えていただきたいのですが。
明石 走るということは結構、勇気がいりますけど、成功させるにはスタートとスライディングが大事。
なぜ、スライディングが大事かというと、スライディングを速くしないと、(審判に)セーフでもアウトに見えてしまうので、スライディングが速いとアウトのタイミングに思われても、足が入っているように見えますから、セーフになることが多いんです。速く、強く滑ることが大事ですね。
――そのようなスライディングを身に付けるためには?
明石 ベースの遠くでスライディングをしても、あまり勢いがないので、ベースの近くでスライディングをすると速く見えます。タイミングを間違えると怪我も伴って危ないので、そこは気をつけてください。
僕が、ベース近くでスライディングをするようになったのは、中学時代にイチローさんがそのようなことを言っていたのを覚えていたので、『じゃあ、自分もやってみよう』と思って、今も継続してやっているんです。
――そうだったのですね!明石選手は高校時代から、走ることを自分の強みとしてプレーしていたのでしょうか?
明石 そうですね。足を使った攻撃は常に考えていました。僕は三塁打を打つのが好きでしたので、だいたい普通の選手は二塁までは行くんですけど、僕はさらに中継選手のスピード、打球の位置などを見て、三塁まで行けるなら行こうと思って常に狙っていましたね。
[page_break:打撃編:バットは軽く握る!]打撃編:バットは軽く握る!
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――続いて、バッティングに関してお伺いしたいと思います。高校時代から長打力が武器の明石選手ですが、球威に負けずに、ヘッドを速く走らせるために、工夫していることはありますか?
明石 バットを軽く握ることですね。力が入っていないかと思うくらい。僕は、力が入っていて良かったことは、今までないので、力を抜くことを意識していますね。これに気付いたのは、2009年のシーズンですね。
今までは、バットを思い切り振っていたんですけど、それでは当たる確率が少なかったので、力を抜いてやったほうがいいと実感しました。
▲明石選手が使用するバット
――実際にプロ初本塁打を放ったのも、2009年でしたね。体の使い方で、何か変化はありましたか?
明石 バットを軽く握ることですね。力が入っていないかと思うくらい。僕は、力が入っていて良かったことは、今までないので、力を抜くことを意識していますね。これに気付いたのは、2009年のシーズンですね。
今までは、バットを思い切り振っていたんですけど、それでは当たる確率が少なかったので、力を抜いてやったほうがいいと実感しました。
――実際にプロ初本塁打を放ったのも、2009年でしたね。体の使い方で、何か変化はありましたか?
明石 力の入れ方は変えましたが、フォームは中学時代からそんなに変わっていないんです。あとは、自分の変化に日々、気付くことですね。毎日の自分の変化に敏感になること。おかしいと思ったら、それが修正できるか、できないか。できなかったら、厳しいと思います。僕がいつも確認しているのは、自分のタイミングで打てていたかどうかですね。
――今シーズンに関しては、どんなバッティングをみせて、スタンドを盛り上げたいという思いがありますか?
明石 三塁打を多く打ちたいですね。なぜかというと二塁を回って三塁へ向かう時の歓声が本当にすごいんですよ。僕はそんなにホームランを打てる選手ではないので、三塁打を多く打ちたいですね。
[page_break:長く続けるために体のケアはとても大事]長く続けるために体のケアはとても大事
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――また、今年は明石選手にとって、プロ入り10年目となるシーズン。どんな一年にしていきたいですか?
明石 今シーズンは打率と盗塁数にこだわって行きたいですね。盗塁は30個以上目指したいです。あとは『1番』を打ちたいです!また、オールスター出場も目指したいですね。あの場所は、限られた選手しか打席に立てないので。
――明石選手のように、プロの世界で長くプレーするために、日頃から意識しておいたほうがいい考え方はありますか?
明石 これまで何度か故障したこともあって、やっぱり改めて思うのは、体が丈夫なことが大事だと思います。ですので、高校生は練習後のケアをしっかりとやったほうがいいですね。僕は当時、怪我の予防に対する知識もなく、キャッチボールでも故障しないようなフォームで投げることも意識せずに投げていました。
そういうのを続けてしまうと肩に負担がかかりますよね。僕は肩の手術をしてから、もっと自分の体を大事にしておけばよかったと後悔したので、練習が終わった後のケアはしっかりして、長く野球を続けるためにも体はぜひ大事にして欲しいと思います。
――実際に、明石選手がおこなっていた体を鍛えるトレーニングというのは?
明石 高校時代は、そこまでトレーニングをやっていなかったのですが、プロに入ってからは、例えばウエイトで筋肉のある一部分を強くするためには、打撃練習の中に、トレーニングを織り交ぜたほうが効果があると気付きました。
それまでは、野球の練習でしか実力がつかないと思っていましたけど、プロに入ってから、トレーニングの重要性に気付いたんですよね。打つ筋肉は、もちろん打つことで付きますが、野球選手のパフォーマンスを高めるためには、それだけでは偏ってしまうので、全体的なバランスを考えて、高校生の皆さんにもトレーニングをしてほしいですね。
――では、最後の夏に挑む高校球児の皆さんにメッセージをお願いします!
明石 甲子園に行けても、行けなくても自分に悔いが残らないように、一日一日を大事にしてほしいです。僕も高校生の時は、厳しい練習ばかりでしたが、チームメイトの存在があったからこそ、乗り越えることが出来ました。仲間は、やっぱり大事にしてほしいですね。
明石選手、たくさんのアドバイスをありがとうございました!
今シーズンも明石選手の俊足好打あふれるプレーに、ぜひ注目をしていきたいと思います!