鎮西vs九州国際大付
9回、起死回生の同点ホームランを放ち笑顔で生還する古澤(九州国際大附)
持ち味である粘りで九国大に対抗した鎮西
「あれだけの打線。間違いなく今大会のNo.1チームを相手に、勝てたのは須崎琢郎が恐れずに内角をついたからでしょうね」
延長14回の激闘を制して、熊本県高野連・管 浩理事長ら地元の関係者から、祝福の言葉を受けた試合後の鎮西・江上寛恭監督は、その興奮を抑えきれない様子で、試合のポイントを話してくれた。
先制したのは鎮西。三塁に走者を置くと、3番岩島崎真門(まさと)がスクイズを成功。その虎の子の1点を守る須崎琢郎が、シュート気味に決まる内角と、その対角線である外の変化球、低めにコントロールされた制球力で、福岡県大会平均7.0得点をマークしてきた超重量打線を抑え続けた。
8回を終えた鎮西のベンチでは、「 最終回(の守り)も攻めるゾ! 」と行き盛んであった。しかし、それもたった一球で取り去られる。
9回表の先頭として打席に入った九州国際大付・古澤勝吾が振り抜くと打球はレフトの頭を越える大会第一号の同点ホームラン!土壇場での起死回生の柵越え弾に、流れは一気に九州国際大付へ傾く。
その後一死ニ、三塁と絶好のチャンスを得たのだが、須崎がピンチを凌いで試合は延長へと突入していく。
追いつ追われつの、歴史に残る好ゲーム!
サヨナラ勝ちを収めた鎮西
11回に九州国際大付が、途中出場の手塚雅斗がライトへ犠飛を打ち上げ勝ち越し点を奪ったが、鎮西もスクイズを成功させて同点にした。
強打にふさわしく、ホームランと犠飛で得点する九州国際大付と、二つのスクイズで得点するスモールベースボールの鎮西。見事なまでに互いに180度違う独自のカラーで戦う両者は一歩も引かない名勝負を、ここ南の果てである沖縄で繰り広げた。
再試合も見え始めた14回、鎮西は二塁に走者を置いて6番の福山 晋が、安藤幸太郎を攻略する決勝のタイムリー!
「 誰もウチをマークしていなかったでしょ 」と苦笑いした江上寛恭監督。
また。大会屈指の好選手である安藤幸太郎投手が、悔しさゆえに試合後に泣き続けていた姿が印象的であった。この敗戦がきっと彼をより大きく成長させるのではないだろうか。 翌年の夏の福岡県をリードするのは、九州国際大付で間違いないだろうと思った秋の夕暮れだった。
鎮西・江上寛恭監督のコメント
「なんと言っても須崎。ホントに恐れず向かっていってくれたなと。スクイズも対外試合で何度も決めていたし、ウチは4番も送りバントをする。この子たちは、勝利を手に入れるためには今何をすべきかを分かってきている。でもこの勝利を生かすためにも、次の試合は絶対に負けられないゾと伝えてあります。やってくれるでしょう 」
(文・写真:當山 雅通)