試合レポート

盛岡大附vs聖光学院

2014.06.07

勝つ投球に拘った盛岡大附の松本裕樹

盛岡大附vs聖光学院 | 高校野球ドットコム 

エース松本裕樹(盛岡大附)

 盛岡大附にとっては聖光学院は因縁深い相手である。
過去3年間で二度顔合わせしており2012年秋準決勝で4対5で競り負け、2013年秋1回戦で2対1と競り勝った。そしてこれが三度目となる。盛岡大附の先発はエース・松本 裕樹。松本は今春の岩手県地区予選で、最速150キロをマークし、安楽 智大高橋 光成に並ぶ速球派右腕として注目されている、

 だが今回の松本は聖光学院に勝つために変化球中心の攻めで投球を組み立てる。
聖光学院は直球をしっかりと打ち込んでいると聞く。だから今日は変化球中心の攻めで行きました」
変化球は110キロ台のカーブ、115キロ前後のチェンジアップ、120キロ前後の横滑りするスライダー、130キロ前後のフォークと実に球種は多彩で、器用に投げ分けており、コントロール良く投げ分けることができていた。ストレートは常時135キロ~140キロ前後と松本にしてはやや控え目だったが、スピードで勝負することなく、目の前の打者をしっかりと抑えていた。

松本は4回表に内野ゴロの間に1点を失うが、5回裏、3番菜花 大樹(3年)が右前適時打を放ち、1対1の同点に追いつく。

盛岡大附は松本の好投に応えたいところだが、聖光学院の背番号1の船迫 大雅(3年)を打ち崩すことが出来ない。右サイドから常時125キロ~130キロ前後と決して速くはないのだが、スライダー、カーブを投げ分け、内外角へしっかりと揺さぶりが出来る好投手で、打ち崩すのは難しい投手であった。


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サヨナラ安打の高橋と抱き合う松本(盛岡大附)

 1対1の同点で迎えた8回表、松本は二死三塁のピンチを迎える。ここで松本は打席の柳沼 健太郎(3年)に対し、変化球中心の配球で、2ストライクと追い込むと最後はフォークで空振り三振。「この三振が今日の中で、ベストな配球、投球でした」と振り返るほど、絶妙にコントロールされたフォークだった。ピンチを切り抜けた松本は9回表も2つの三振を奪い、三アウト目の三振はアウトローズバリと決まる142キロのストレート。尻上がりに調子を上げていた。

 そして9回裏、8番澁谷 裕也(3年)が投手強襲安打を放ち、一死二塁となって、第4打席で左中間を破る二塁打を放っている高橋 涼(3年)が左中間を破るサヨナラ安打を放ち、2対1でサヨナラ勝ちを決めた。

 勝利を決めた盛岡大附・関口監督は

「苦しい試合になることは分かっていたので、点差は予想通りのものでした。今日は松本が粘り強く投げてくれたことに尽きます」とエースの好投をたたえた。また次へ向けての課題として、「まだ打ち取れるべき打球をヒットにしている。松本を苦しめることになっているので、少しでも守れるようにして、松本を楽に投げられるようにしてあげてほしいですね」と守備面を課題に挙げた。

 勝てる投手へ成長を見せた松本。この日の最速は146キロ。140キロ中盤を計測したのは数球だけで、控え目な投球だった。今日のような繊細な投球に、ストレートも豪快さが出てくれば、さらに打たれない投球が出来るようになるのではないだろうか。夏へ向けて更なる進化を期待したい。

(文=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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