神村学園vs鹿屋
2桁背番号の4人投手陣、役割果たす・神村学園
先手を取ったのはノーシードから勝ち上がった鹿屋だった。
4回、二死から四球で出塁した3番・白石純平(3年)が盗塁を決め、4番・大竹野拓実(2年)がセンター前タイムリーを放った。軟投派のエース花里駆(3年)が持ち味を発揮し、2つの併殺をとるなど、神村学園の強力打線を5回までは3安打、無得点に抑え、前半は鹿屋が主導権を握っていた。
神村学園は6回、先頭の都甲将央(2年)がライト線に二塁打を放ち、3番・山本卓弥(2年)の送りバントが内野安打になり、4番・小島千聖(3年)のレフト前タイムリーで同点に追いつくと、5番・豊田翔吾(2年)のセンター前タイムリー、7番・河野涼(3年)の犠牲フライで3点を奪い、一気に試合をひっくり返した。
7回にも4番・小島の三塁打と相手のエラーで2点をダメ押し、主導権を握ると、6回からリリーフした北庄司恭兵(2年)が4イニングを3人ずつで片づける好投で、鹿屋打線につけ入るスキを与えなかった。
神村学園の2桁番号を背負う4人の投手陣が、それぞれの役割を果たし、2年ぶりの決勝進出に貢献した。
先発の18番・新里武臣(2年)は五回まで1失点は先発投手としては合格点の内容だった。
5回裏一死の新里のところで、小田大介監督が送った代打が11番の植新太陽(3年)だった。見事期待に応えてセンター前ヒットを放つ。
小田監督は植新の代走に17番の大村将(3年)を送った。「絶対、かえって来いよ」「必ずかえるから」。塁上で3年生2人は言葉を交わした。残念ながらこの回は併殺で得点できなかったが、小田監督は投げる出番がなかなかない3年生2人が代打、代走で気持ちを見せてくれたことが、試合の流れを変えてくれたと考えている。
6回からリリーフした10番・北庄司恭兵(2年)は4イニングを3人ずつで片づけるパーフェクトリリーフだった。直球のスピードと制球が良かった。NHK旗以降、走り込んで下半身を鍛えたのに加え、制球を安定させるために腹背筋など体幹部を強化した。投げ方を上投げからスリークオーターに変えたことで、制球も良くなった。
9回は一死から北庄司が初安打を打たれたが、先制タイムリーを放った4番・大竹野をセカンドライナー、併殺に打ち取ってゲームセットだった。北庄司の気迫が、強襲打をセカンド正面のライナーにした。
(文=政 純一郎)