日南学園vs日章学園
「堅守強攻」日南学園が、最後の夏に本来の勝負強さを発揮!
第96回高校野球宮崎大会もいよいよ決勝。
『あと一勝』をかけ、先発マウンドにあがったのは日南学園は左腕横川楓薫。日章学園は右腕井之上洸晟。
準決勝で好投の両エースが連投するかたちになった決勝は、1回裏に突如大粒の雨に見舞われた。
マウンドに立つのは日南学園・横川。一死から制球を乱して四球を与えたが、気持ちを切らすことなく、後続を6-4-3の併殺に打ち取った。
同時に、雨は上がり、不運な立ち上がりとなった横川であったが、ここは致命傷にならずに済んだ。
試合は両エース譲らず、4回終わって0対0。決勝戦にふさわしい投手戦に。
この行き詰まる投手戦の均衡が敗れたのは5回表、日南学園の攻撃。一死二塁から9番新谷の内野ゴロを、日章学園の遊撃手が捕球しそこない、慌てて拾って一塁に投げたが一塁手の頭上を大きく越える悪送球に。これがカメラマン席に入り、ボールデッドで二走谷川が生還し1対0。
さらに、同回二死三塁から、キャプテンの2番植村が外角高めのボール球に上手く反応して左中間まで運んだ。日章学園中堅手が精一杯のダイビングキャッチを試みるも、わずかに届かず適時二塁打となって2対0。
その後も、両エースが粘投して、互いに得点を許さないまま9回を戦いぬいた両校。終わってみれば5回の得点が決勝点となり日南学園が優勝を果たした。
日章学園は、6回に二死満塁フルカウントのビッグチャンスがあったが、日南学園横川から1本を打つことが出来なかった。エース井之上も6回から9回までをパーフェクトに抑えていただけに、悔しすぎる惜敗となった。
そして、3年ぶり7回目の甲子園出場を果たした日南学園。
昨秋・今春の九州大会県予選を制して、第1シードで挑んだこの夏に、三度目の頂点に輝いた。
今大会は4試合を戦い、コールド勝ちこそなかったものの、攻守ともに勝負強く堅実な野球で、強い日南学園の姿をみせてくれた。
特に、5月に行われた「第51回MRT招待高校野球大会:前橋育英VS日南学園」でレポートしたように、強打日南学園には、「打ち勝たなくても勝てるチーム」、「打てなくても負けないチーム」を期待していた。
それが見事に、この夏しっかりとチームに浸透しており、特に準決勝・決勝の接戦を制することができた。
そして、指揮官の金川豪一郎監督は、一瞬の隙や甘さを一度もみせることなく、今大会で一番厳しく手堅い采配を随所にみせた。まさに優勝監督の姿そのものだった。
昨夏延岡学園の甲子園準優勝で、宮崎県勢初の全国制覇が、「夢」ではなく「目標」になった。
今年こそは全国の頂点へ。
日南学園が宮崎県代表校として、深紅の大優勝旗を奪いにいく。
【日南学園・戦績】
◆ 2回戦:不戦勝(宮崎海洋の出場辞退)
◆ 3回戦:4-0宮崎福島
◆ 準々決勝:10-0宮崎大宮
◆ 準決勝:3-1宮崎日大
◆ 決勝:2-0日章学園
(文=三角竜之)