試合レポート

佐沼vs塩釜

2014.07.20

佐沼が48年ぶりの決勝進出

 宮城大会の4強は、12年ぶりに公立校が顔をそろえた。その準決勝第1試合は佐沼塩釜が対戦した。

 1塁側の佐沼は昨秋、今春とも地区予選で敗退し、県大会を戦っていない。つまり、この夏が現チームで初めての県大会レベルでの試合だ。
初戦の2回戦で泉館山を3対1で下すと、3回戦の古川黎明戦は完封勝ち。4回戦で仙台高専名取に3対2で勝利すると、準々決勝は、仙台育英を破った東北学院に延長10回サヨナラ勝ち。25年ぶりの準決勝進出となった。

 一方、3塁側の塩釜今春、29大会ぶりの県大会に出場し、延長再試合や逆転勝ちなどドラマチックな試合を展開。春の“台風の目”となり、第4シードとして夏を迎えた。
その今夏も2、3回戦を完封で勝ち進み、4回戦で仙台商を4対2、準々決勝で泉松陵を5対2でそれぞれ下し、春に続いて準決勝に駒を進めてきた。

 佐沼の先攻で試合は始まった。
1回表、佐沼は1死から2番・佐々木暉が死球で出塁し、3番・鈴木翔太の一ゴロで2塁に進んだ。4番・高橋大和の打球は高々と上がり、アウトかと思われたが、セカンドが深追いし、セカンド後方、ライトの前にポトリ。その間に佐沼が先制した。

 その裏、塩釜は1死から2番・相沢友彦がライトへのヒットで出塁すると、3番・清野政尭への4球目で盗塁。清野は見逃し三振に倒れたが、4番・千葉文月への3球目で二走・相沢が三盗。キャッチャーからサードへ送球された球がサード後方に転がり、これを見た相沢はホームへ。同点にしてみせた。

 序盤から慌ただしい試合は2回表、佐沼は1死から死球の後、犠打で2死2塁。1番・佐々木怜が四球で歩くと、2番・佐々木暉がサードへセーフティバントを決めて満塁。3番・鈴木への2球目がパスボールとなり、勝ち越した。さらに鈴木はライトへタイムリーを放ち、この回、2点を奪った。


 塩釜もだまってはいない。2回の先頭、5番・阿部裕太朗が四球で出塁すると、6番・宮井大治の犠打、7番・久保京太の一ゴロでそれぞれ進み、8番・土井礼斗のヒットで生還した。

 3対2と佐沼リードの4回、流れは一気に佐沼に転がる。
この回、先頭の9番・佐々木豪太の打球は高々と上がり、セカンド、センター、ライトの間へ。結果、ライトのエラーとなり、出塁すると、1番・佐々木怜が犠打、2番・佐々木暉が死球、3番・鈴木の打球はファーストの手前ではねてライト前ヒットとなり、1死満塁とした。4番・高橋のセカンドゴロで二塁フォースアウトの間に1点を加えた佐沼。さらに5番・千葉駿太がサードの頭上を越すレフトへのタイムリーを放った。そして2死1、2塁で、6番・大友健司のセンター前ヒットで1点追加。センターからホームへの送球が逸れる間に一走・千葉もホームを踏んだ。
ミスも絡み、佐沼は一気に4点を奪った。佐沼は6回にも1点を加えた。

 結果として、この6回の1点が塩釜を守りに入らせた。6回で8対2となり、あと1点でコールドとなるため、この1点を凌ぐ布陣になった。先発・梅津栄朗2回途中、3点を失ったところで、ライトを守っていた背番号1の宮井にマウンドを譲った。
宮井は7回2死2塁で、セカンドを守り投手も兼任の小野山洸人に交代。
そして、8回、小野山が先頭に四球を与え、次打者に1ボールとストライクが入らなくなったところでレフトに回っていた宮井が再びマウンドへ。
宮井はその後を凌いで乗り切ったが、結果として、塩釜は1点もやれない状況で投手交代を余儀なくされ、流れの悪い試合になってしまった。

 佐沼はエース・佐々木暉が、カウントが悪くなっても最後は直球をインコースに決めて打ち取るなど、どんな状況でも物怖じせずに自分のスタイルを貫いている印象がある。

 春に旋風を起こした塩釜を倒し、夏の“台風の目”と化した佐沼。1966年以来、48年ぶりの決勝進出を果たした。

(文=高橋昌江

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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