英明vs藤井学園寒川
英明・左の「ライアン」田中 寛大、貫禄の6安打完封!
英明3番・森山 海暉(遊撃手・2年)
2010・2011年は夏の甲子園連続出場、昨秋にも県大会準優勝・四国大会でも1勝をあげた英明。一方、2009年夏に甲子園出場経験を持ち、今大会からは現役時代は高松商・社会人野球の熊谷組で活躍、2008年には全国青年大会軟式野球部門でアノラックス高松を全国制覇に導いた佐竹茂樹氏が監督として指揮を執る藤井学園寒川。
緒戦・しかも開幕戦で激突させるのが非常にもったいない好カードである。
ただ、結果は英明の快勝。
初回は守備の乱れを付いて、2009年には「カル・リプケン杯12歳以下世界少年野球大会」での日本代表経験を持つ5番・湊 亮将(2年・三塁手・右投右打・高松ボーイズ出身)の右中間2点三塁打などで3点を先制。以後も3回表には3番・森山 海暉(2年・遊撃手・右投左打・166センチ61キロ・三木町立三木中出身)の大会第1号アーチをライトスタンドに叩き込むなど計6得点。
「もう少し点を取らないと」と、英明・香川 智彦監督はあくまで辛口コメントに終始したが、最速131キロをマークした藤井学園寒川先発・杉本 大樹(2年・投手・右投右打・188センチ84キロ・坂出市立白峰中出身)の角度あるボールをしっかり序盤で捉えたことは十分評価に値するだろう。
英明先発・田中 寛大(2年)
それ以上に素晴らしかったのは英明先発の田中 寛大(2年・投手・左投左打・175センチ80キロ・高松市立古高松中出身)の116球6安打4奪三振2四球での完封劇である。
夏の香川大会では絶対エース・赤川 大和(3年)の故障により思わぬ形でマウンドを任され、2失点に留めるも初戦敗退に終わった田中。たがこの日は、NPB3球団が視察に訪れた中にあっても冷静なピッチング・エースの貫禄を見せた。
この日は山城 大智(沖縄尚学3年)や、山岡 就也(広島新庄3年)を思わせる脚を高く上げるライアンスタイルから「球もちよく前でボールを離すことを意識した」自己最速141キロのストレートや、決め球の1つにしているツーシームなどが次々と低めへ。
2回戦以降での先発が予想される最速139キロをすでにマークしている中西 幸汰(2年・投手・左投左打・165センチ64キロ・高松市立香川第一中出身<3年夏以降は高松 Regulation Baseball Clubに所属>)との左2本柱は香川県内のみならず、もし四国大会に進めば他3県代表校にとって最大の脅威となるだろう。
とはいえ敗れた藤井学園寒川も、杉本が高田 篤志(182センチ82キロ・一塁手兼投手・左投左打・北播リトルシニア<兵庫>出身)との2本柱で回せる手ごたえを得られたことは春以降を見据えた上では大きな収穫。
両私学の動向にはこれからも細心の注意を払う必要がありそうだ。
(文=寺下 友徳)