一次予選の戦いから決勝リーグ対戦国を分析 ~韓国代表~
韓国は、18Uアジア選手権の初日、台湾に対し、9対1で圧勝した(試合レポート)。2戦目のタイもコールドで下し、決勝リーグ進出を決めている。
彼らが日本より優れているのはパワーだ。まず体格が違う。ベンチ入り18人中、180センチ以上が日本は7名に対し、韓国は11名いる。
強打を誇る韓国野球
ファン・デイン(韓国)
ここまで自慢の強打を見せている韓国。
韓国の選手達は早くもKBO入りすることを見据えて、木製バットを使用している。違和感なく振れている選手が多く、しっかりと捉えた打球はとても力強い。特徴的なのは、韓国の打者は始動が遅く、ボールを引き付けて強く叩く選手が多いということ。右打者はその傾向が顕著で、多少ドアスイング気味でも、打球を遠くへ飛ばすことを意識していた。
そして今年18名中、ドラフト指名されたのは12名。まさにエリート集団である。韓国のプロ野球では、各球団1人、地元の高校の出身者を優先指名出来る。
現在、優先指名選手に入っているのが、下記の選手たちだ。
KTオム・サムベク(投手/徳寿高/188センチ・75キロ/右左)
斗山ナム・ギョンホ(投手/ソウル高/185センチ・85キロ/右右)
LGキム・ジェソン(捕手/徳寿高/184センチ・85キロ/右左)
サムスンキム・ヨンハン(外野手/雪岳高/183センチ・86キロ/右右)
ロッテキム・ドングァン(捕手/釜慶高/183センチ・80キロ/右右)
5名。
また、自由指名となる二次選抜の1巡目が下記の選手となる。
KIAファン・デイン(内野手/京畿高/176センチ・89キロ/右右)
SKチョ・ハヌク(投手/冲岩高/185センチ・80キロ/右右)
LGアン・イックン(外野手/大田高/175センチ・70キロ/左左)
<2巡目>
KTチョン・ソンゴン(投手/仁昌高/180センチ・70キロ/左左)
斗山キム・ミニョク(内野手/光州東成/189センチ・97キロ/右右)
LGチェ・ミンチャン(外野手/信一高/179センチ・76キロ/左左)
サムスンチェ・ジョンヨン(内野手/世光高/178センチ・77キロ/右左)
韓国チームの攻守スタイル
韓国の4番キム・ミニョク
パワー面を前進に押し出した野球スタイルに見えるが、相手の隙を見て、セーフティバントを仕掛けたり、小技を仕掛けたりするなど、「スモールベースボール」をお家芸とする日本に近い一面も見せている。
オーダーを見ると、左打者が多く、そして長打力のある右打者が一本で還すというのが攻撃スタイル。
1番チェ・ミンチャンが出塁し、3番で広角に打ち分けるアン・イックンがつなぐ。さらに、イデホを彷彿とさせる4番キム・ミニョクは長打力が自慢の強打者だが、得点圏ではしぶとく中堅返しをする技ありの一打を見せる。
また、6番打者であるファン・デインはバックスクリーンに打ち込むパワーもあり、まさに息を抜けない打線だ。
投手陣では右サイドから最速146キロを計測するオム・サムベクはエースとして期待されており、公式戦でも安定した成績を残している。クローザー役として期待される右の速球派・ナム・ギョンホ、左腕からキレのある速球を投げ込むチョン・ソンゴンなど好投手が多い。攻守ともに力のあるチームである。
決勝リーグで当たるであろう日本へ向けて、主砲のキム・ミニョクは
「日本は一番のライバル。日本には絶対勝ちたいです!」
と日本へのライバル意識を語った。
そして対戦したい投手は「もちろんエースピッチャーです!」とエースとの対決を望んだ。
日本のエースとなれば高橋 光成(前橋育英)。国を代表する投打の逸材との対決が実現すれば非常に見応えのある勝負になることは間違いない。
[page_break:日本は韓国とどう戦うべきか?]日本は韓国とどう戦うべきか?
韓国戦の鍵を握る森田駿哉(富山商)
大会初日、韓国vs台湾の試合をスタンドから観戦していた日本ナイン。主将で正捕手の栗原陵矢(春江工)に韓国ナインの様子を聞いてみた。
「投手も良いですし、打者は自分達にはないパワーを持っていますよね。そしてパワーだけじゃなく、機動力もある。嫌なチームだなと思います」と警戒。
だが捕手ながら弱点はしっかりとチェックしている。
「結構穴が大きいとは感じます。僕らバッテリーはなんとなく気付いています。そこをしっかりと攻めて打ち取れる配球を行っていきたい」
台湾戦では、韓国の右打者は外角に強く、特に変化球が高めに浮いた球を見逃さずに打ち込む鋭さがある。一方で、内角を厳しく攻められたり、高めの釣り球に弱い傾向が見られた。
左打者は全体的に直球に強い。そして右投手相手になると、左打者は待っていたかのように鋭い打球を飛ばした。変化球の対応はそれほど優れているようには見えなかった。
そうなると左投手がカギになるのではないか。左腕である小島和哉(浦和学院)はこう話した。
「左打者が多いですし、左投手を苦手にしている感じを受けました。自分に出番があるかなと感じています」
小島と、常時140キロ台のストレートに加え、キレのあるスライダーを武器にする森田駿哉(富山商)がカギを握るであろう。
栗原は自分たちの強みを発揮することが大切と話した。
「自分たちは小さいですが、強みである足などを使って、野球はパワーではないというところ見せつけたいと思います」
日本は予選ラウンドでは本塁打こそ出なかったが、打線では木製バットにしっかりと順応をしている岡本和真(智弁学園)、岸田行倫(報徳学園)、香月一也(大阪桐蔭)の中軸3人がカギを握るだろう。さらに脚力のある脇本 直人(健大高崎)、徳本 健太朗(龍谷大平安)も自慢の走力を発揮できればより勝利に近づくことができる。
過去3年の戦績を見ていくと、
2013年10対0 (観戦レポート)
2012年4対2 (観戦レポート)
0対3 (観戦レポート)
2011年6対1 (観戦レポート)
これまで日本が3勝1敗と勝ち越しているが、接戦が予想されるだろう。ここまでしっかりと勝負所で打ち、守ることができている日本。今まで通りの戦いで、宿敵対決を制したい。
(文=河嶋宗一)
【試合レポート】韓国vs台湾(2014年09月01日)