Interview

東北楽天ゴールデンイーグルス 松井 稼頭央選手※タイトルお願いします。公開前回数確認。

2015.02.13

 昨季、外野手として21試合に出場した松井 稼頭央選手。実は現役21年目で、初めての外野手としての出場だった。22年目を迎えた今年は外野手登録となり、本格的に外野手に挑戦する。今回は新しいポジションに挑戦する松井稼選手の、現在の率直な思いについてお聞きした。

外野手の難しさを実感した昨シーズン

松井 稼頭央選手
(東北楽天ゴールデンイーグルス)

 今回、外野手に挑戦するにあたって松井稼選手は、
「楽しくやれていますし、新しいところに挑戦するわけなので、練習では1球でも多く捕って積み重ねていければ良いと考えています」

 昨年、外野手として21試合に出場。難しさを感じたシーズンだったようだ。

「外野手は難しいですね。周りは外野手をどう見ているかは分かりませんが、見ているのと、実際にやるのとでは違いますね。やらないと分からないことがありますし、その持ち場の大変さを実感しています。それはどのポジションでも同じですね」

 具体的に外野手の難しさを聞くと、

「ただフライを捕るだけならばできますが、フライを捕るだけではなく、捕ってからすぐに投げないといけません。チャージにしても、バランスを崩さない状態で投げないといけない。そして相手打者のことを研究しなければなりません。外野は打球の跳び方も不規則ですし、フライもドライブがかかったり、ナックルのように全く回転がかかっていなくて、変な飛び方をしている打球もあります。昨年はレフトを守っていましたが、その判断が本当に難しいと思いましたね」

 正直な思いを語った松井稼選手。内野手にはない動きが多く、いろいろと戸惑いがあったようだ。外野手としてプレーするために、オフはトレーニングの内容を変えたのかと聞くと、

「変えてはいないですよ。例年通り、内野手のノックも受けました」
といつも通りだ。ポジションを変えたからといって、やることは変わらない。
「内野手のアジリティは、外野手にも生きていることが結構あるんです。外野手になったからといって、内野手の練習をしないと、アジリティが落ちて、対応できないことが多いです」

 そこには松井稼選手のこだわりを感じる。理想とする外野手は?という問いに対して、

「理想はまだないですね。本格的に初めたばかりなので。チームメイトに外野について聞いたりしていますが、上手い選手の真似はなかなか出来るものではありません。今は自分の色、良さを出すためにいろいろと考えながら、何で勝負をするのかを決めていきたいと思います」と自分の色を出すことにこだわっている。

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[page_break:守備はあくまで自分のペースで築き上げる]

守備はあくまで自分のペースで築き上げる


松井 稼頭央選手(東北楽天ゴールデンイーグルス)

 

 春季キャンプでは、どんなテーマで臨んでいるのか。

「センターの定位置を取りたいと思っているので、まずはこのポジションに慣れればと思います。しかし、まだ外野の守備は素人の域ですし、実戦もこなしていません。実戦を経験することで、いろいろな課題が出てくると思います」と実戦の中で課題を見出そうとしている様子だった。

 守備練習では「送球のバランス」についてこだわっている。シートノックでも、松井稼選手は、あくまでも自分のペースで送球のコントロールに磨きをかけている。

 若手の外野手は首脳陣へのアピールにと、強肩を披露しようとしていた。だが松井稼選手はコントロールを重視して、強度を抑えて投げていた。そのことについて質問すると、「強度はまだ低いですね。今はフォームのバランスを意識しています。フォームのバランスが整わないうちに、全力で投げてしまうと、ぶれてしまうんですよね。だからバランスが大事なんです」と、土台となるバランスが整ってから強度を上げていくつもりだ。
 

 今年で松井稼選手は40歳を迎える。松井稼選手の鍛え抜かれた肉体を見て、「若い」と称賛する声が多い。
トレーニング中、松井稼選手はタンクトップ姿や上半身裸でいることが多い。そのためトレーニング時でのウェアには、こだわりがない。だが上半身裸でいることが多い理由の1つに、松井稼選手は締め付けを嫌う。

 試合時に着用するウェアは「緩すぎず、ゆったりとしていて、通気性にこだわったものが良いですね。NIKEさんのウェアは汗をすぐ吸収してくれるので、べたつきがないのも良いです」とあくまで自然体な松井稼選手をサポートしているようだ。

 そして若さの原動力は「若い選手に負けない」という考え。練習量も、実力でも、若手に負けないことを意識し、キャンプの全体練習後の個人練習時には重さのあるマスコットバットを持ち、バッティングマシン相手に快打を連発していた。その真剣さに多くの報道陣が松井稼選手の練習姿を見ていた。

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[page_break:開幕はセンターのレギュラーで迎えたい]

開幕はセンターのレギュラーで迎えたい

松井 稼頭央選手
(東北楽天ゴールデンイーグルス)

 今年の松井稼選手は、いろいろな大記録が達成間近だ。2000本安打まであと80本、350盗塁まであと5盗塁に迫っている。だが記録については「全く意識していない」と話す。
「個人的には、記録だけのことしか言われないのは寂しい気持ちですね。確かに積み上げてきた数字ですが、僕は記録のためにやっているわけではないので」と個人記録に興味を示すことはなかった。また打率面でもこだわりはない。

「打率にしろ、出塁率にしろ、数字が変動するからですね。プラスになるものならばいいのですが、マイナスになるものばかりに気を取られていたら、積極的にプレーすることはできない。打率が下がったから、下げないようになんとかしようという思考にはならないように、安打、盗塁、得点などのプラスになるものを一本ずつ積み上げていければ良いと思います」と語るように、あくまで積み上げを大事にしているようだ。
 

 松井稼選手はどんな思いでプレーに臨んでいるのかと聞くと、「常に全力ですね。自分の持ち場、役割を全力でこなすこと。それができることで、チームに貢献出来ると考えています」とあくまでシンプルだ。

 松井稼選手はプロ入り当時、20年間プレ―することを目標にしていた。今はその目標を達成し、1年1年が勝負という意気込みで臨んでいる。そして最後に今シーズンの目標を語ってもらった。

「昨年、チームは最下位になって悔しい思いをしたので、今シーズンの目標は日本一奪回です。チームが1つになって、チャレンジャーのつもりで1年間戦っていきたいですね。個人としては開幕の時にセンターで出場したいと思っていますので、オープン戦の結果にこだわっていきたいと思います」と外野手転向1年目に、外野の要であるセンターのレギュラーを奪うことを誓った松井稼選手。

 インタビューで「1年1年が勝負」と語った松井稼選手。だが練習の様子を見ると、悲壮感というものは感じなかった。むしろ新しいポジションに挑戦することに楽しさを感じ、充実したキャンプを送っていた。あくまで自然体で、そして常に全力で取り組む松井稼選手が見られたのだ。

 この1年、昨年以上の輝きを見せるシーズンとなるか。ポジションが替わった松井稼頭央選手のパフォーマンスを見逃せない。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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