Interview

神戸国際大学附属高等学校 竹村 陸選手「勝負強い男になって再び夏の甲子園へ」

2015.04.03

 今年の兵庫県で最も評判が高いのが、昨夏甲子園出場を果たした神戸国際大附だ。昨秋の県大会でも優勝。近畿大会では初戦敗退したが、県内では神戸国際大附がトップだと推す声が多い。その中心選手が竹村 陸である。1年秋にクリーンナップの座を獲得した竹村は、2年夏は4番サードとして甲子園出場。秋から投手も務め、まさに投打の大黒柱である。そんな竹村にこれまでの過程と、最後の夏にかける意気込みを伺った。

4番で甲子園出場も、無安打に終わり悔しい夏に

竹村 陸選手(神戸国際大附属高等学校)

 神戸国際大附に入学したきっかけは中学時代、練習の見学をしたことだという。
「練習の迫力、気合い、そこに惹かれました」

 実際に神戸国際大附の練習を見ると、全員が声を張り上げ、真剣な表情で練習に取り組んでいる。そしてチームを率いる青木 尚龍監督が厳しい眼差しで、選手たちを見つめている。竹村はその気合いに惹かれたのだ。

 神戸国際大附に入学し、寮に住むことになった竹村。まさに野球漬けの3年間が始まった。練習量の多さはもちろん、食べる量も多かった。神戸国際大附は1日2キロのお米を食べなければならないという決まりがある。それぐらい食べないと猛練習に耐えられないそうだ。

 新入生にとってかなりきつい食事の量だが、もともと食べられる竹村は、それほどきつくもなく順応したようだ。
「やっぱり先輩がみんな体が大きかったので、その先輩に追いつきたいという思いでがむしゃらに食べていきました」

 また青木監督は「野球は下半身が大事」と語るように、メニューも下半身を意識したものが多い。入学当初、下半身が硬く、守備も苦手だったと振り返る竹村はその面で苦労したようだが、その練習を続け、守備力も上達。もともと打撃に自信があった竹村は1年秋にクリーンナップの座を獲得した。

 自分自身の打撃スタイルを「外野の間にライナー性の鋭い打球を打つこと」と説明する。中距離打者として台頭した竹村は、2年夏、4番サードとして兵庫大会で活躍を収め、夏の甲子園出場を手にする。

神戸国際大附にとっても、竹村にとっても、初の甲子園。
「試合前は楽しみで仕方なかったですね。緊張はなかったです」と臨んだが、結果は1対2で聖光学院に敗れる結果に。竹村は3打数0安打とノーヒットに終わった。

「8回のチャンスで併殺に倒れてしまって。また僕も、チームもかなり力んだところがあって、全く自分の打撃ができなかったですね」と悔やんだ。

注目3年生球児が挑む最後の夏
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【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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勝負強くなるために取り組んだ打撃練習法

竹村 陸選手(神戸国際大附属高等学校)
【平成26年度秋季近畿地区高校野球大会
1回戦 立命館宇治戦より】

 そして新チームがスタートしたのだが、投手がいなかったこともあり、竹村は投手を務めることになる。投手を起用した意図を青木監督は、
「この子はなんでも器用にやる子で、あの時、投手が育っていなかったこともあって、竹村に任せるしかない状況でした」

 竹村は、投手を務めるにあたって、最初はストライクが投げられるか不安だったが、投げてみて思った以上に入ることに気付いた。コントロール重視の投球で、県大会でもリリーフを中心に投げてきた。また秋からサードへライトへコンバート。竹村にとって初めての外野手だが、全く違和感なく臨むことができたようだ。これこそ器用にこなせる竹村の長所が生きた形だろう。

 そして神戸国際大附秋季大会優勝で近畿大会に臨むが、初戦立命館宇治に7対11で敗れてしまい、春の甲子園を逃す。竹村は5打数0安打に終わり、チームとしても、竹村としても悔しい結果に終わった。この結果を振り返って、
「勝負弱い自分が悔しくて、悔しくて、勝負強い選手になるために打撃練習のやり方を変えました」

 竹村はこれまでの打撃練習で、自分のペースで思い通りに打ってきた。だがこれまでのやり方では変わりないと考え、普段の打撃練習から状況を設定して、打撃練習するようになった。例えば、二死二塁、一死満塁、カウントは3ボール2ストライクなど、勝負を分けそうな場面を想定して、打撃練習をしてきたのだ。

 今までの打撃練習のやり方では快音を響かせていた竹村だが、このやり方に変えてから、最初はプレッシャーに負け全く自分の打撃ができなかった。しかしここを乗り越えていかなければ次はないと思い、自分を追い込んでいった。今では状況別の打撃でも快音を響かせることができるようになり、少しずつ変わっていることに手応えを感じている。

 そして体作りも徹底的に行い、ウエイトトレーニングで体を大きくし、また下半身を重点においたトレーニングを並行して行ってきた。その結果、一冬越えて、打球の飛距離も伸び、また投手としても球速が上がり、プレー全体に粘りが出てきたようだ。

 3月になって、打撃面で成果を発揮し、練習試合10試合で4本塁打を記録した。夏にかけて発揮したいのは、冬に磨いてきた「勝負強さ」だ。
青木監督も、「竹村にはやってもらうしかないですね。練習を見ているとよくやっていると思うんですけど、まだ私自身、満足していないですね。神戸国際大附の1人として勝負強さを発揮してもらってほしい」と厳しく見ながらも、竹村に期待している。

 無安打に終わり、屈辱に終わった昨夏の甲子園。その借りを返すべく勝負強い男となって、2年連続の夏の甲子園出場を勝ち取っていく。

(インタビュー・文/河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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