城東vs川島
第2シード・川島「1球」から学ぶこと
結果は2年連続、城東の前に緒戦で涙を呑んだ第2シード・川島。が、彼らは善く戦った。
一時はコールド負け寸前に追い込まれながらも俊足3番・遊撃手の大堀 雄平(3年・182センチ82キロ・右投左打・吉野川市立川島中出身)いわく「6月からポジティブなイメージを持ち、嫌なイメージをなくしていくメンタルトレーニングを始めた」効果を中盤以降徐々に発揮。2時間31分の試合中、主将・藤岡 京佑(二塁手・3年主将・右投左打・165センチ67キロ・美馬市岩倉中出身)を中心に「泥臭く、元気よく、ガムシャラに」チームの約束事を守り、最後は一打同点の場面まで城東を追い込んだ。
ただ、策士・鎌田 啓幸監督が率いる城東もしたたかであった。6月の総体協賛西部ブロック大会で阿波の前に初戦敗退に終わるなど、バランス面に課題を抱えていた川島エース・宮本 誠士(3年・左投左打・178センチ78キロ・美馬市三島中出身)の立ち上がりに狙いを定めると、5回までに7得点。
加えて巻き気味に吹く風をつかんだ守備ポジショニングも川島の反撃を押しとどめる要因となった、そしてもう1つの勝敗を分けたポイントは1対1で迎えた4回表にある。城東4番・後藤田 朋哉(3年・右翼手・右投左打・173センチ68キロ・吉野川市立川島中出身)に対し、川島・宮本の初球はハーフスピードのアウトロー高目へ。これを後藤田は逃さず右中間を深々と破る三塁打とし3得点へ。宮本、そして川島にとってはまさに「痛恨の1球」となった。
大会前には「気持ちを内に秘めて淡々と投げたい」と語っていた川島・宮本だが、ここではあえて感情を出してもよかったのではないか。9安打を喫した5回までとうって変わり、開き直って腕を振った6回以降はわずか1安打無失点に封じただけに、なおさらそう思えてならない。「自分たちでミーティングしたり、メモを取ったり、ひたむき、誠実さが3年生にはあった。そこが花開いてほしい」(川島・北谷 雄一監督)。
いわゆる「最後の夏」にそれらが花開かなくても、人生の中で花開く機会はまだ残されている。川島にはリベンジを果たせなかった悔しさを胸に。城東には成功体験に満足することなく、川島の分まで夏を戦い抜いてほしい。
(文=寺下 友徳)
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