Column

センターへコンバートになった清宮幸太郎の守備力に迫る

2016.03.26

 現在の高校野球界のスターである清宮幸太郎。今回、センターのポジションに挑戦をしている清宮について、気になる方も多いのではないだろうか。このコラムではセンターになった経緯、実際の守備力などをお伝えしていきたい。

清宮がセンタ―を守ることになった経緯

センターを守る清宮幸太郎(早稲田実業)

 まずセンターへコンバートしたきっかけはチーム事情にあった。率いる和泉実監督は
「清宮は一塁手だと思います。一塁の守備は本当に上手いですし、守備と攻撃のバランスを考えたら清宮は一塁。しかし清宮の他に伸びてきている一塁手が2人います。しかし彼らを出すとすれば清宮を他のポジションで起用しなければならない。そこで空いていたのがセンターでした」
あくまで一塁手としての清宮を最大限に評価しているが、センターのレギュラー候補の選手が体調不良などで試合に出場できないことがあった。そこで清宮にやらせてみる流れになった。清宮は昨秋の大会が終わってから遊撃、三塁を守ることはあったとしても、あくまで一塁手だった。

 しかし今年の年明けから本格的にセンターを着手することになったが実際に守らせると指揮官の想像以上に守れる選手であることが分かった。
「足はあの体型にしては速いし、肩も強いし、あいつはどのポジションでも守れる器用さがあります。そこでしばらくはセンターを守らせることにしました」
清宮自体もセンターというポジションに楽しさを感じていた。
「実際に守ってみても、楽しいですし、また一塁と違ってバッテリーの配球を見ていろいろ考えられるのはまた新たな景色が見えて新鮮です」
上達することで、何か楽しみを覚えることは大事だろう。では実際の守備力はどうなのか?というと、まだ始めたばかりの選手にしては、動けているが、まだセンターと呼べる動きではないところ。これも始めたばかりだから仕方ない。

 実際どうなのかを説明すると、普通の打球についてはそつなく動くことができているが、しかし外野フェンスまで鋭い打球を飛ばす聖光学院の各打者たちの打球についていくのに精いっぱい。つまり甲子園にいくレベルの学校の打球に順応ができていないのだ。さすがの清宮も「今までにない打球ばかりで、これも良い経験だったと思います」と振り返った。

 スローイングを見ると肩自体は強く、投げるボールは強いが、スローイングのフォームが大きく、これもロスが多い。センター・清宮は高いレベルで見ていくと、まだまだ課題が多いといえる。清宮はそれを実感しており、「これからも練習試合が多く入るので、少しずつ慣れていきたい」と語った。

 東京都は全体的にパワーのある打線が多いだけに、センターを守る清宮にとってこの春は試練の大会となるだろう。そこではどんな結果が待ち受けようと、すべてが自分のためと捉え、一歩ずつ前進してほしい。既に高校生トップクラスの長打力、技術を誇る男にセンターをしっかりと守れる技量が付いたとき、選手としての付加価値はより高くなるだろう。

 それが実現した時、今よりももっと高い評価を受ける選手になることは間違いない。

(文=河嶋 宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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