滋賀学園vs近江
滋賀注目の一戦は期待通りの好ゲーム
滋賀学園・神村月光
近江は2回に、8番・磯引拓生(2年)のスクイズで1点を先制。先発した背番号10の深田樹暉(3年)は、滋賀学園打線に7安打を浴びる苦しいピッチングながらも、要所で打ち取り、6回まで無失点に抑えて、背番号1の左腕・内林瑞貴(3年)に繋いだ。
しかし滋賀学園は8回裏に一死二、三塁からワイルドピッチで同点に追いつくと、さらに一、三塁で途中出場・西村大樹(3年)のダブルプレー崩れの間に勝ち越しに成功。
エース・神村月光は(2年)は3安打1失点に抑えて完投。[stadium]湖東スタジアム[/stadium]の内野席を一杯にしたファンの期待に応える緊迫した一戦は、滋賀学園に軍配が上がった。
逆転してもらった後の9回、最後の打者を内野ゴロに打ち取った2年生エース・神村は小さくガッツポーズ。キャッチャーの後藤克基(2年)ともグータッチをした。前日(29日)の2回戦では登板がなく、この近江戦が春の選抜後初の公式戦マウンド。山口達也監督は「組み合わせが決まった時からこの(近江との)3回戦を神村でいくつもりでした」とエースの登板日を決めていた。
しかし、立ち上がりから4イニングは全て先頭打者を出塁させてしまうなど苦しんだ。特に2回から4回までの3イニングは先頭打者に四球を与えるなど、神村らしくないとも言えるピッチング。だが本人は「序盤はピッチングのコツがつかめていなかった」と冷静に分析していた。
なぜコツがつかめていなかったのか。その理由の一つは、選抜大会後の休養。3試合を投げた疲労を指揮官に考慮され、投げる、走るなど通常の練習メニューから外れて、チームメートのサポートに徹してじっくりと体を休めた。
「本格的に練習を再開して10日くらい。練習試合では2試合の登板でともに3イニングずつでした。だから、今日は9回を完投する感覚を思いだそうと楽しんで投げるようと思いました」。
徐々に本来の感覚を思いだすと、5回から8回までの4イニングはパーフェクトに抑える圧巻の内容。2回の失点をスクイズの1点だけでとどめていたことも、終盤の逆転への足がかりとなり、「今日の勝ちは大きい」と指揮官も喜ぶ結果に繋がった。
さて、2年生の投手リーダーを務める神村の人間性を、山口監督ら指導者陣は「あいつは凄い」と絶賛する。取材をしていても、クレバーな投球術もさることながら、いつも感心させられるのは考え方だ。話を聞いていると、とても高校2年生とは思えず、『社会人野球の選手と話しているのでは』という感覚になってしまう。それが神村の魅力。
今日の取材でもこう話してくれた。「今日勝つことが最大の目的ではない。夏に勝つこと。そのための今日です」。その後も言葉を続けた2年生エースの魅力にまた引き込まれた。
(写真:中谷明 img001~img031)
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