Interview

山川 穂高選手(埼玉西武ライオンズ)「まずはストレートを100パーセント打てる選手になろう」【後編】

2016.10.06

 埼玉西武ライオンズの山川 穂高選手の独占インタビュー前編では、中部商時代の高校野球の取り組みから、自身のテクニカル論を語っていただきました。後編でも、まだまだ山川流のバッティング論をお届けします!

高校生はストレートが打てればいい結果が生まれる

山川 穂高選手(埼玉西武ライオンズ)

――まずは山川選手が、高校生たちに改めて伝えたいことはどんなことですか?

山川:中部商業に帰ったときに聞かれることがあるんですけど、高校野球ではストレートが打てればほとんど打てると思います。

――カーブとかも?

山川:プロと違って高校生の変化球を投げる割合は低いので、見逃していいんですよ。高校生は真っすぐが打てればいい結果が出るはずです。プロの一軍は逆に、変化球を打って何ぼです。

――大谷 翔平(日本ハム関連記事)でも5割近くは変化球ですね。

山川:半々なので。サファテ(ソフトバンク)もあれだけ速い球を持っていても最後は変化球じゃないですか。プロは速いのを見せて最後は落としたり曲げたりですけど、高校野球は、甲子園を見ていても多いのは真っすぐですよね。150キロぐらいを投げるピッチャーがいたら、もうほとんど真っすぐですね。だから金属で打つ高校生は変化球をうまく打つという考えはしなくていいと思います。真っすぐを100パーセント強く振れる状態で待てれば、高校生レベルの変化球だったら僕が高校のときは対応できました。高校最後の大会は5割ぐらい打って、そのほとんどは真っすぐです。だから、まずはストレートにどれだけ強いかじゃないですか。

――また山川さんのバッティングに戻りますが、今年の第1号は二木 康太(ロッテ)の内角いっぱいのストレートを打ってますよね。

山川:はい、僕のバッティングは自分でも独特だと思ってるんですけど、内角は手が先だと思ってるんです。

――足は関係ない?

山川:足は関係ないと思っています。手だけで十分。内角がきたと思って腰を回してからバットを出すと差し込まれるんです。内角はきた瞬間にパーンと左手で(払うようなアクションをする)。逆に外角は右手です。でも中村さんは足で打つ人なんです。

――だから中村選手の方が脱力しているように見えるんでしょうか。

山川:そうですね。中村さんは手がこういう状態で(構えた位置から動かない)一定のスイングをします。僕はここをこう使うので(大きくテイクバックを取る動きする)中村さんとは違います。森 友哉(関連記事)に聞くと「インコースは腰」と言うんですよ。ターン、回転で打つと。大阪桐蔭出身者はそうなのかなと思うんですけど、でも浅村さんの打ち方を見ていると、どっちかというと手かなと思うんですけど。

――メヒアのアドバイスがちょっと話題になっていますけれども、メヒアはどんなことをアドバイスしてくれるんですか。

山川:僕はイメージでは全部レフトに打ちたいので、そっちの方がヒットにしやすいと思っているんですけど、メヒアは練習では右中間に強く打った方がいいと。メヒアは僕とタイプが一緒と考えていてくれていて、ピッチャーは外の変化球で入ってインコースを見せてまた外の変化球で攻めてくるから、いつも引っ張りにかかっていると外が遠く見えるから、肩の開きを抑えて、引っ張るにしてもこっちの肩(左)を開かないでこの状態でバーンとレフト方向へ飛ばせと。

――それはすばらしいアドバイスですね。

山川:そうですね。それができるのは、結局腕の力とか体に力がある人だけかなと思います。

[page_break:手の位置が決まればすべてうまくいく]

――例えば左肩が開かないようにというのは、どうしたら開かないようになるんですか。意志の力でしかできない?

山川:試合中にそれを考えるともう自分との勝負になっちゃうのでそれは一番よくないんですけど、一番手っ取り早いのは右打ちです。中学、高校の指導者はみんな右打ちしろと言いますね。体が開いているバッターには、右に打ちなさいと。でも、僕が「肩が開かないように打て」と言うとしたら、インコースを待てと言いますね。好きなコースを待って好きなコースを打ちにいったら開かないという考えなので。

手の位置が決まればすべてうまくいく

山川 穂高選手(埼玉西武ライオンズ)

――バッティングの調子が落ちたときどこをチェックしますか。

山川:本当はよくないと思うんですけど、手です。構えたときの位置が僕は気になるんで。これが決まりさえすれば、もう何の不安もなく打席に向かって、何でも打てる気がするんです。ここの手です、この手のこの決まり方ですね(と言って、バットを持って立ち上がり、手の位置を示す)。

――毎日やってても手の位置が違うんですか。

山川:ちょっとした位置ですね。

――完璧な状態の位置を写真か映像で撮っておいたら。

山川:だから僕は毎日映像を見るんです。横からも前からも全部見て。あんまり上ばかり気にするとよくないと言われるんですけど、気になるのは仕方ないかなと思ってやるんですけど。下の使い方を知らないわけではないんですけど、僕はここ(手の位置)が決まれば下も使えるんですよ。

――今立って、手の位置がどんな状態か見せてください。

山川:今日の感覚でいうとここぐらいですか。この手の位置をいつも考えています。これも全部中村さんのまねをしてたんですけど、中村さんはここからこうじゃないですか(テイクバックを取らずにトップの位置からスイングに入る)。自分はここからこういう感じです(と言って大きくバックイングする)。

――振幅の大きさは回り道になると言われますよね。

山川:それは始動を早くすれば大丈夫だと思うんです。実際150キロの球を引っ張れてますし、間に合ってるんです。でも中村さんはここからドーンと。

――中村選手のそういう部分は自分の目指す道にはならない?

山川:どうですかね、同じタイプになろうと思ってやった結果、難しかった。中村さんの映像を今までずっと見てきて、ずっと考えながらやってたんですけど、全然できなかったので。今年から中村さんは別の人だと思って、全くまねをしなくなりました。

――結果的にはそれの方がよかったわけですね。

山川:そうですね。中村さんの打ち方ができれば最高なんですけど、できないやと思って、じゃ自分の打ち方でどうやってホームランを打とうかと考えた結果が今年ですね。

(文=小関 順二

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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