東北楽天ゴールデンイーグルス 藤田 一也選手(鳴門第一出身)「守備の名手・藤田 一也が伝授する9つの『藤田式メソッド』」【後編】
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後編も引き続き藤田選手の守備練習法を紹介します。
ゴロ捕球の際は右手でボールをおさえず、グラブの横に添える
●藤田式メソッド その5
構えではインパクトの瞬間に軽くジャンプ
「構えはこうあるべき、というのはないと思いますが、上体の力を抜いて、1歩目がスムーズに出るように、下半身に(軽く)力を入れるのが1つのポイントでしょう。僕は、これはプロに入ってからですが、インパクトの瞬間に軽く跳びます。実はテニスを参考にしました。テニスではトップクラスになるとサーブの時速が200㎞を超えますが、それに反応するため、レシーバーは打つ瞬間に、その場で小さく跳んでいるのです。僕はテニスの他にもいろいろスポーツを見て、野球でも使えると感じたものは取り入れるようにしています」
●藤田式メソッド その6
ゴロ捕球の際は右手でボールをおさえず、グラブの横に添える
(写真左から)クラブの上から右手をおさえるように。高校時代、捕球時に指をケガをしてから、右手を横に添えるようになった。
「ゴロを捕球する際は右手でボールをおさえるようにするのが基本です。僕も高校の時はこれを叩き込まれましたが、それがためにイレギュラーが右手に当たり、ツメを2度ほどなくしています。それで、もうケガはしたくないな、とグラブの横に添えるようにしたところ、捕球が楽になり、握り替えがしやすくなりましてね。以来、ゴロ捕の際は右手を添えています。基本を順守することも大事ですが、自分に合ったやり方で捕球することの方が、もっと大事のような気がします。プロの選手を見ても、握り替えがスムーズにいくように、ボールを握る形を作って添える人もいれば、じゃんけんのパーにして捕りにいく人もいます」
[page_break:シートノックをイメージトレーニングの場にする]シートノックをイメージトレーニングの場にする
「他の選手のプレーは自分のイメージトレーニングになる」
●藤田式メソッド その7
打球の勢いを殺してボールを握り替える
「僕はグラブの面に当ててゴロを捕るタイプです。そのため革にボールがくっつく感じがするのが嫌なので、捕球面にはオイルを塗らず、汚れを落とす程度にしています。ボールは捕りにいきません。来たボールの勢いをグラブで吸収するイメージです。そして打球の勢いを殺してボールを持ち替える。僕が急所の真下で捕球するようにしているのも、この一連の動作を体の中(体の近く)で行いたいからです。
握り替えのやり方も人それぞれだと思います。重要なのはキャッチボールの段階から、ゴロ処理をイメージしながら握り替えの練習も行うこと。キャッチボールは準備の時間でもありますが、工夫次第でいくらでも有効に使える時間になると思います」
●藤田式メソッド その8
キャッチボールの時からいろいろな投げ方をする
「内野手はいつも上から投げるわけではありません。むしろ横から投げることが多いですし、時には下から投げることも。それなのに、キャッチボールではいつも上からきれいに投げていたら、実戦に即していないような…僕はキャッチボールの時から、いろいろな投げ方をしますし、あえていろいろな高さに投げることで、(リリースの際の)指先の感覚の違いを知るようにしています。高校野球の場合、チームとしてのやり方があるのでなかなか難しいと思いますが、たとえば自主練習の時にいろいろな投げ方をしてみる。さらにはバックトスやグラブトスなども。派手に見えるプレーの練習は、全体練習ではできにくいでしょうから。ただ、いずれも試合では必要になるプレーです。どんなプレーも練習でやっておかなければ、試合では絶対にできないのです」
●藤田式メソッド その9
シートノックをイメージトレーニングの場にする
「シートノックでは各ポジションに何人か入ります。僕は自分の順番を待つ際、必ず前の人のゴロ処理を観察するようにしています。しっかり見て、僕だったらもう1つ前のバウンドではいるけどな、とか、そういう入り方もあるのか、と。他の選手のプレーは自分のイメージトレーニングになるんです。あと二塁手の場合、三遊間のゴロが「横」から見えます。バウンドがよくわかるので、三塁手や遊撃手がどう対応するかも参考にしています」
いかがだろうか。今ではプロの内野手が藤田選手と一緒に自主トレする機会が多い。それは常に守備のことを追求してきた藤田選手と一緒に練習をすれば、何かヒントが見つかるかもしれないと思うのだろう。
ぜひ9つのメソッドの中から自分に合うものを取り入れて守備を上達させていきたい。
(インタビュー/文・上原 伸一)
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