試合レポート

社vs明石商

2017.05.05

平均得点9.6得点の社打線が明石商投手陣を攻略!

社vs明石商 | 高校野球ドットコム
先制の犠飛を放つ佐竹(社)

 ここまで6試合で平均得点9.6得点を奪っている。しかも投手力が高い関西学院に8点、神港学園に15得点なのだから、相当打撃力は高い。その打撃力の高さを明石商相手にも発揮した。

 まず2回裏、一死三塁から6番佐竹一摩の犠飛で先制すると、7番宮内竜聖(3年)が安打で出塁すると、8番藤原佑真(3年)が右中間を真っ二つに破る適時二塁打で2点目を奪う。

 さらに5回表には今大会打撃好調の高田快飛が代わった明石商の近藤から二塁打を打ち、4番中戸の適時打で3対0と追加点を奪った。

 のエース・佐名川拓臣(3年)は、右スリークォーターから常時120キロ後半~130キロ前半の速球、スライダー、カーブを巧みに投げ分ける好右腕。中背のため、あまり角度がなく、被安打を打たれることも多い。だが良いのは、ピンチになってからの粘り強さで、じっくりと間合いを取って投げることができる投手。要所で、切れのある変化球が低めに集まり、明石商打線を抑えることができていた。

 3対0で持ちこたえた9回表、は二死満塁のチャンスを作り先制の犠飛を打った佐竹が走者一掃の適時二塁打を打ち、6対0。試合を決定付けた。佐名川は7安打を打たれながらも、要所を締めて完封勝利。決勝進出を決めた。

 今年のはとにかく打者陣の能力が高い。その中でも3番高田快飛の潜在能力の高さは必見だ。スクエアスタンスで構え、仕掛けはやや遅く、ボールを手元まで引き付けて打つスタイル。ややスイングが外回りだが、それでも抜群のヘッドスピードでボールを捉え、鋭い打球を連発する。身体能力も非常に高い選手で、次のステージでも活躍が期待できる選手だ。


 4番を打つ中戸啓悟(3年)も4打数3安打を打つ活躍。スクエアスタンスで構える姿は雰囲気があり、しっかりと自分の間合いでボールを打つことができる選手で、そしてスイングの鋭さ、打球の鋭さもハイレベルで、右投手、左投手問わずに打ち返すことができる。また一塁守備を見ると巧みなグラブ捌きが光る。攻守ともにレベルが高い一塁手だ。

 これで2年ぶりの決勝進出。報徳学園相手にどんな戦いを見せるのか、注目が集まる。

 敗れた明石商だが、選手のレベルは高い。まず先発の福谷航太(2年・右投げ左打ち)は兵庫飾磨クラブ出身の2年生右腕。昨年卒業した山崎伊織を思い出す長身右腕で、素質は抜群。長身ながら上半身、下半身のバランスがとれており、内回りのテイクバックから繰り出すストレートは常時130キロ~135キロ前後を計測。ただストレートは強さ、110キロ前後のスライダーも切れが欠けており、社クラスの打線となるとまだまだ厳しい。そのためにはもう少し強い腕の振りができるようになりたいところ。肉体的な強化、さらに体の使い方を覚え込んでいけば、140キロも十分に到達可能な投手で、ぜひドラフト候補と注目されるぐらいになってほしい。

 エース左腕の近藤聖哉(3年)は、130キロ前後の速球、切れのあるスライダー、カーブを小気味よく投げる投手で、完成度は高く、全体的にまとまっているので、安定したピッチングが期待できる。夏へ向けてボールの強さを求めていきたいところ。

 9回に3失点を喫した奥西勇太(3年)は、コンスタントに135キロ前後を計測しているように馬力がある投手ではあるが、100キロ前後のカーブのみで、投球の幅が狭い。ストレートとカーブ以外で、決め球となる変化球を習得し、ストレートも、さらにスピードアップを実現したい。

 野手では1番ライトの後藤壮人(3年・右投げ左打ち)に注目。バットコントロールが秀でた左打者で、当てる能力が高い。そして俊足で、ライトから強肩を披露しており、常にバックホームではワンバウンド送球だ。ただ器用が故に、軸がぶれてしまい、当てる打撃になることが多い。しっかりとトップを形成してから、体の軸がぶれることなくレベルスイングを徹底させて、その上で、パワーが身につくと、より注目を浴びる存在となりそうだ。

(文・写真=河嶋宗一

社vs明石商 | 高校野球ドットコム
注目記事
2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.06

23年三重王者・いなべ総合が初戦で敗れる!9回に逆転満塁弾を許す

2024.07.07

上田西が0封に抑えられて初戦敗退 23年はオリドラ1を擁して甲子園出場

2024.07.07

滋賀大会では日野がサヨナラ勝ち、伊吹はコールド勝ち【2024夏の甲子園】

2024.07.06

MAX153キロ、高校通算39本塁打、偏差値70! 東京の超進学校に現れた“規格外の男”森井翔太郎の「気になる進路」

2024.07.06

高校生ドラフト期待度ランキング10位-1位 ドラフト上位有力“超高校級の逸材”の中から1位に輝いたのは…?【2024夏直前版】

2024.07.05

白山高元監督の“下剋上球児”再現はあるのか!? センバツ1勝の宇治山田商、2年生集団で東海大会準優勝の菰野など各ブロックの見所を紹介【2024夏・三重大会展望】

2024.07.05

春連覇した加藤学園は悲観達成を狙う! 静岡、日大三島、藤枝明誠、プロ注右腕・小船を擁する知徳らが行く手を阻む!?【2024夏・静岡大会展望】

2024.07.05

静岡大会ではノーシード勢が初戦、常葉大菊川、聖隷クリストファーが開幕6日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

三重大会が6日開幕、昨夏代表のいなべ総合が初日に登場【2024夏の甲子園】

2024.07.05

大阪大会は京セラドーム大阪で6日に開幕、大阪桐蔭は14日、履正社は14日に初戦【2024夏の甲子園】

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!