試合レポート

星野vs武南

2017.07.11

剛腕・布川雄大に立ちはだかった星野・湯沢卓己!

 戦前の予想は埼玉屈指の剛腕、布川雄大(3年)を擁する武南有利だったが、スポーツ紙で埼玉を担当する友人の記者は、昨年夏の埼玉大会で創部初のベスト16に導いた左腕、湯沢卓己(3年)を擁する星野が有利、とはっきり言っていた。

 湯澤は1回裏、2つの四球を出す制球の乱れで1点先取され、4回には6番栗原孝徳(3年)、の二塁打と8番三嶋優吾(3年)のタイムリーで2点目を失っているが、それ以外はチェンジアップを主体にした配球で武南打線を翻弄、6安打、2失点に抑えた。

 湯澤とは対照的に武南の布川はストレート主体のピッチングで星野打線を圧倒した。2回表、ボールを後逸するバッテリーエラーが2つ続き1点を失ったが、4回まで7三振を奪う力投でストレートの最速は142キロを計測。それが5回以降、三振が思うように取れなくなった。スピードが目立って落ちたわけではない。コントロールも安定しているのになぜかバットに当てられる。

 7回に顕著に表れたのが星野打線の積極打法だ。1対2でリードされた7回表、3番飯野優太(3年)が初球をレフト前、4番櫻井駿樹(3年)が1ボールからの2球目をライト前に運んで無死一三塁のチャンスを迎えると、5番隅田 郡(2年)がセンターへ犠牲フライを放ち同点とした。8回表も得点こそ挙げられなかったが、打席に立った4人の打者はいずれも2球までに打って出て、左翼手のエラーを誘った。
 


 ここで布川のピッチングの特徴を紹介したい。約1カ月前の6月11日、創価との練習試合を見て、随分粗っぽいピッチャーだと思った。小さいテイクバックと早い体の開きが目立ち、投げ方がいいとはお世辞にも言えなかった。プロで似たタイプを探せば九里亜蓮(広島)が近いだろうか。ステップする左足を斜めに内側に向けるインステップのため、右打者の内角高め方向への抜けも目についた。ストレートは自己最速に1キロまで迫る145キロを計測、さすがに評判になるだけあると思った。

 そういう諸々の長所と短所をくらべ、星野戦のデキがどうだったかというと、よかったと思う。テイクバック時の体の割れが不十分で、それがボールの抜けにつながるという創価戦の課題がここでも解消されないまま残っていたが、腕の振りを抑えてもボールを外角低めに集めようとする意思が見え、実際に147球投げて与四死球ゼロという好結果につながった。延長10回表、二死後に内野手のエラーが2つ続き、勝ち越し点を許したが、10回投げて被安打7、失点3は及第点と言っていい。

 好投手を攻略した星野打線は、得点したイニングに見せた積極打法をフルイニングで実践できるかどうか、今後上位に進出するためのキーポイントになりそうだ。

(文=小関順二

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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