千葉黎明vs横芝敬愛
千葉黎明が横芝敬愛にサヨナラ勝利!
サヨナラ勝ちを決めた千葉黎明
秋の公式戦。新チームが始まって初の公式戦なだけにどんなチームでも緊張する。
千葉県の第六ブロックの中でも好カードとして注目される千葉黎明と横芝敬愛の一戦。両チームの選手たちの動きを見るとどちらも硬さがあった。まだ経験がない選手を成長させるには勝利しかない。勝った経験が選手の血肉となり、成長を促すことは両チームの指揮官は熟知している。その1勝を目指した戦いは、死闘となった。
まず前半は両投手の投げ合いとなった。千葉黎明の先発・渡部 翔太郎(2年)は、投球も、打撃も捻りの動作を入れる投手だ。右スリークォーターから投げ込む直球は常時120キロ後半(最速131キロ)の速球、曲がりが大きいカーブで勝負する投手だ。制球力も高く、ゲームメイク能力も高い。千葉黎明の荒井監督によると、夏場の練習試合では最も内容が良く、そして練習態度も良く、それを評価して、渡部に背番号「1」を与えた。渡部は秋初登板に緊張を隠せない様子だったが、それでも粘り強く抑える。
そして横芝敬愛の先発は行木 俊(2年)。181センチ62キロと細身だが、最速は130キロ後半の速球を投げる投手だ。しかしこの試合はあまり調子が良くなく、常時130キロ前半にとどまった。ただ行木が良いのは変化球の精度が高く、さらに制球力が高いこと。縦横のスライダー、カーブをしっかりとストライクが取れる投手で、ゲームメイク能力が高いこと。まさに素材型という投手だが、それでもまとめてほしいと思う場面で、まとめることができる投手で、これで体が出来上がった時、どんなストレートを投げ込むのか、楽しみな投手である。
5回表、二死満塁から3番行木が内野安打で1点を先制。さらに押し出し死球で2点目を入れた。5回裏、行木が抑えて、前半は2対0で折り返す。しかし千葉黎明は6回裏、一死一、三塁から4番渡邉瑞希(2年)の適時三塁打、さらに7回裏には1番鈴木の勝ち越しタイムリーで逆転に成功する。
8回表、横芝敬愛は5番鈴木がライト越えの長打を放ち、無死二塁のチャンスを作ると、さらに相手投手のボークで三塁へ。6番佐藤の中前適時打で同点に追いつく。だが、千葉黎明の林 直樹も粘り強い投球。林は1年生の時から経験を積んでいる右腕で、故障もあったが、公式戦で投げさせるまでに戻った。コンパクトなテークバックから投げ込むストレートは常時130キロ前半で、高めに最速136キロを計測。この時期としてはなかなか速く、ボールも力がある。スライダーの切れも良く、ポテンシャルは高い投手である。
林、行木の投げ合いで延長戦に。試合が動いたのは延長11回表、二死一、二塁のチャンスで横芝敬愛は代打・石川隆起(1年)に打席が回った。石川は林のストレートを振り抜き、ライトの頭を超える三塁打で2点の勝ち越し。石川は、肩の力が抜けたベストスイングすることができていた。1年生の一打に横芝敬愛の伊藤匠も「素晴らしい」と活躍を讃えた。
逃げ切りたい横芝敬愛だが、千葉黎明の5番宮本がストレートを捉え、打球はライトスタンドを超え、1点差に迫るホームラン。右打者・宮本の逆方向の一発に、千葉黎明ナインも驚きの一発。打った本人も「僕も驚きでした」と会心のホームランは練習試合・公式戦通じて初の一発となった。千葉黎明はこの一発で一死満塁のチャンスを作り、併殺崩れで同点に追いつき、二死一、三塁から2番長谷部がレフトへのサヨナラタイムリーで熱戦に終止符を打った。
勝利した千葉黎明の荒井監督は、「みんな夏休みの練習では一生懸命やっていました。初戦ということで、みんな硬くなっていましたけど、そういう中で勝ったのはチームとして大きいと思います」と苦しい初戦を勝利したことを讃えた。
敗れた横芝敬愛は要所で守備の好プレーが出たり、代打として出た1年生の石川の一打だったり、1人1人を見ると面白い選手は多くいる。あとは試合で自分の力を表現できる想像力、感性、考え方が大事になる。
相手は何をされたら、嫌だと思うのか?この場面は積極的に走るべきなのか、自重するべきなのか、この状況では、ミートを心がけるべきか、強振するべきか、それを実践できる、できないでは、全く戦い方が変わる。
エース・行木は責任感を感じている様子だった。「調子は良くなかったのですが、悪いなりにピッチングを組み立てる能力。フォームが良くなかったので、それを本番までしっかりとフォームを固めてベストコンディションに持っていける調整、さらに課題として出た投球術などを鍛えてやっていきたいです」と決意を新たにした。ポテンシャルは高い投手なだけに、ぜひ公式戦からいろいろなことを学び取って大きな成長を見せてほしい投手である。
これで横芝敬愛は敗者復活戦からスタートになるが、この敗戦から選手たちはどう変わっていくのか?大いに注目したい。
(写真・河嶋 宗一)
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