精神的なストレスと過呼吸
試合の時は誰でも緊張しやすいもの。自分一人を責めることなく、仲間を信じて戦おう。
野球の試合中や練習中に選手が突然過呼吸を起こしてしまうことがあります。過呼吸になる原因はさまざまありますが、高校生アスリートの場合の多くは試合による緊張や、プレー中にミスをしてしまったとき、試合で負けて号泣しているときなど精神的なストレスが原因となって起こることが多いといわれています。
過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)と呼ばれるこの症状は、精神的なショックなどが引き金となって、必要以上に酸素を取り入れようと呼吸を繰り返しているうちに血液中の二酸化炭素濃度が低下することで起こります。正常な呼吸ができなくなることで「息が出来ない!」とあせるあまり、さらに正常な呼吸が出来なくなってしまうという悪循環にも陥りやすく、血液中の二酸化炭素が不足することで電解質バランスが崩れ、手足がしびれたり、不安感が大きくなったりといった症状も見られます。
以前は過呼吸への対応として、紙袋で口を覆い、自分の吐いた空気を再度吸い込んで血液中の二酸化炭素濃度を上げる方法を行っていましたが(ペーパーバッグ法)、現在ではこの方法は推奨されていません。過呼吸はストレスによって起こる場合が多いのですが、他の病気によるものも否定できないため、紙袋などで新鮮な空気を遮断し低酸素状態を作り出すことは、症状を悪化させることにもつながってしまうからです。
過呼吸を起こしてしまったときは、あわてて息を吸いたくなるところですが、まずは大きくゆっくりと息を吐くようにします。お腹を凹まして息を吐き、その後お腹を膨らませて呼吸する腹式呼吸を行うようにします。また周囲にいる人はベルトやスパイクなど体を締め付けているものをゆるめるようにし、背中をさすって不安感を和らげるように声をかけましょう。
精神的ストレスを軽減させることはもちろんですが、前日の睡眠不足や当日朝食を食べていなかったといった身体のコンディション不良によっても起こることがあります。体調を整え、精神的なストレスをなるべくため込まないようにしながら過ごすようにしましょう。
文:西村 典子
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