近江が抜群の強さを見せつけた秋季滋賀大会を振り返る
甲子園経験者が揃う近江が秋季滋賀大会を制す!!
甲子園の経験を糧にした林優樹(近江)
平成30年度秋季近畿地区高等学校野球滋賀県大会は近江の2年連続12回目の優勝で幕を閉じた。
夏に続いて滋賀大会を制した近江は5試合全てで5得点以上3失点以下と、安定した戦いぶりが光った。その立役者が林優樹(2年)と有馬諒(2年)のバッテリーだ。全39回のうち37回を投げた林は、エースとして信頼に値する投球を披露。有馬も捕手としてだけでなく、4番打者としても存在感を示した。
打撃陣は甲子園経験者である住谷湧也(2年)、見市智哉(2年)、土田龍空(2年)が上位打線に座り、多くの得点機を演出。彼らは守りでもセンターラインを形成し、堅い守りでチームを支えた。新戦力としては安田侑矢(2年)と鈴木脩太(2年)が勝負と良い打撃を見せて台頭した。県内では突出した力を持っていることを証明できたが、全国で戦うには林に次ぐ投手の育成が今後の課題となりそうだ。
準優勝で近畿大会出場を決めた近江兄弟社は夏からレギュラー総入れ替えとなったが、3年ぶりに近畿大会出場を決めた。その立役者となったのがエース左腕の菊地凛(2年)。全5試合に先発登板し、安定した投球で近畿大会出場へと導いた。
近江に準決勝で敗れたが、滋賀学園も力のあるチーム。左腕の尾﨑完太(2年)と右腕の竹本徹(2年)がダブルエースとして活躍を見せた。彼ら以外にも千葉葵(1年)やこの秋は1番中堅手で出場した金城駿乃介(1年)と力のある投手が控えており、春以降が楽しみなチームだ。野手では比嘉天佑(2年)が県内屈指の強打者で今後に期待がかかる。
[page_break公立勢の奮闘も光る大会となった]公立勢の奮闘も光る大会となった
今大会で奮闘をした高島ナイン
近畿大会には届かなかったが、水口、水口東の甲賀市勢の健闘も目立った。水口は夏のベンチ入りが全員3年生だったが、初戦で夏準優勝の綾羽を下すと、勢いに乗って準決勝まで勝ち進んだ。準決勝では近江兄弟社に5回コールドで敗れたが、公立の雄として今後も期待できそうだ。水口東も初戦でセンバツ出場校の膳所を破るなど健闘。準々決勝では水口との甲賀市ダービーが実現し、0対8で敗れたが、今後も切磋琢磨してお互いを高めあってほしい。
この秋からユニフォームを白地からグレーに変えた高島は8強に進出。準々決勝でも近江兄弟社と延長12回の激闘を繰り広げた。草津東は夏からの主力を中心に打線が好調で、3回戦までの3試合で26得点を奪った。準々決勝の滋賀学園戦では完封負けを喫しており、レベルが上がった時の打撃が課題となりそうだ。
八幡商は1年生主体のメンバーで8強に進出。堀晃大(1年)は準々決勝の近江戦でリリーフし、5回無安打の好投を見せた。2011年夏を最後に甲子園から遠ざかっているが、復活の兆しを見せた。
8強未満で今後に期待できるのは3回戦で敗れた光泉だ。エースの吉田力聖(2年)は3回戦で滋賀学園を相手に1失点の好投。140㎞を超える速球を投げる本格派右腕で滋賀を代表する投手としてなっていくだろう。北大津は1回戦でセンバツ出場校の彦根東を破り、3回戦では近江の林から2回に3点を奪って見せ場を作った。今年は1年生が2人しか入部せず、部員減少に悩まされているが、もう一花咲かせることはできるだろうか。
公立の進学校ながら今年のセンバツに出場した彦根東と膳所はどちらも初戦で姿を消した。両校とも昨年からのレギュラーはあまり残っていなかったが、この結果は不本意だろう。夏準優勝の綾羽も投打で軸になり得る選手はいたが、初戦で水口に敗れるという結果に終わった。昨年も秋の初戦敗退から春4強、夏準優勝と結果を出しているだけに今後の巻き返しに期待したい。
今年は県勢初のセンバツ複数校出場に始まり、近江の国体優勝など例年以上の盛り上がりを見せた滋賀県。しかし、この秋は近畿大会に出場した近江と近江兄弟社がいずれも初戦で敗れ、来年のセンバツ出場はほぼ絶望的となった。勢いに乗っていただけに悔やまれる結果だが、県勢のレベルは確実に向上している。来年こそは県勢初の甲子園優勝を勝ち取ることができるだろうか。
(文=馬場遼)